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 ヤマトシステム開発が大阪ガスから、ガスメーターの物流管理システムの刷新案件を受注した。業務の重要性認識のズレが招いた失敗を挽回し、既存取引先を含む8社競合に競り勝った。 (文中敬称略)



 「ガスメーターの配送の重要性を分かっているのか」—。大阪ガス副理事で導管事業部導管部メータープロジェクトチームマネジャーの田村逸朗は、ヤマトシステム開発の地域統括部営業推進担当部長(当時、現西日本支店支店長)金岡祐典と、同社西日本エリア事業部営業推進課課長の大道寺毅の2人を前に、声を荒げた。

 ガスメーターの物流システム再構築案件で、1次選定を勝ち抜き、順調に商談を進めていたヤマトシステムが、最終プレゼンを目前にした配送テストで、重大な失態を演じた。配送車が到着予定時間に遅れた上、そのことを大阪ガスに連絡すらしなかったのだ。

 大阪ガスは、現場でのテストを重視していた。もちろん、1週間程度の配送テストのミスやトラブルだけで、発注の可否を判断するつもりはない。トラブル時の対応や連絡体制を見極めるのが狙いだった。しかしヤマトシステムの対応は、期待から程遠かった。

 実はヤマトシステムは、配送テストをそれほど重視していなかった。大道寺は「メーターを運ぶことは難しくない。問題が出ても後で見直せばいいと思っていた」と明かす。はなから大阪ガスとは、テストに臨む意識にズレがあったのだ。提案の評価は好感触で、商談を通じ信頼関係を構築できたという手応えを感じていただけに、失敗のダメージは大きかった。

 田村の叱責に大道寺は「受注は無理かもしれない」と感じるほどだった。それでも再度の配送テストの実施を申しいで、大阪ガスにそれを受け入れてもらった。

大量の在庫がコスト負担に

 大阪ガスがガスメーターのサプライチェーン改革に乗り出したのは、2003年度の上期。エネルギー業界で競争が激化し、コストダウンが大きな経営課題になっていたからだ。大阪ガスが設置しているガスメーターの数はおよそ670万台。年間80万~90万台の交換・取り付け工事が発生し、そのコストは年間約120億円に上る。ガスの安定供給を担う重要な設備だけに、欠品の回避を最優先にしてきた結果、在庫は約2カ月分、15万台に達し、コストを増大させていた。

 大阪ガスは、2~3割というコスト削減目標を掲げ、抜本的な改革に取り組むことにした。ガスメーターを、必要なときに必要なだけ作って配送する仕組みをゼロから構築する。約1年かけ、現状の業務を精査し、メーターのサプライチェーンを最適化する要件作りに取り組んだ。大手PCメーカーや自動車部品メーカーに出向き、SCM(サプライチェーン・マネジメント)事例の実地調査もした。