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 「IT業界そのものがバブルだった。(金額で)20%はあったと思う」。8月9日、IBM製サーバーなどをシステム販売するニイウスの末貞郁夫会長兼社長は決算説明会の冒頭で、こう発言した。その真意は何か。

 同社は92年7月、日本IBMと野村総合研究所の合弁で設立された。2004年6月期までの11年間、金融向けビジネスを中心に年率平均45%で売り上げを伸ばし、東証二部にも上場を果たした。05年6月期も売上高は前年度比0.1%増の789億円、経常利益は同46.4%増と大幅な増益となった。だが、期初に掲げた目標の売上高1000億円は大きく下回った。売り上げの6割(04年6月期)を占めるハードの販売が26%も落ち込んだのが1つの要因だ。

 コンピュータメーカー系有力ディーラーの中には、メーカーがユーザー企業を見つけ、ディーラーが製品を納入するというケースがある。メーカーとユーザー企業の間で価格が決定されれば、ディーラーは製品を右から左に流すだけだから、得られる利益はわずかになる。自社で商談を獲得しても、ユーザー企業の情報システム子会社が介在すれば、ディーラーの利益が減ることもある。「ユーザー企業ではなく、メーカーに営業するディーラーがいた」と、笑えないような話もかつては聞かれたほどである。そして現在、ハード価格は下落し、利益率は低下している。今では付加価値のないビジネスになってしまっているのだ。

 そんな中でニイウスは「(ITサービス業界の)変化を敏感に感じている。先行き不透明なディーラービジネスから脱却し、サービスビジネスへ転換させる必要がある」(末貞氏)。IBMなどからサーバーを仕入れて単に販売するだけでは、大きな成長は見込めない。そこで得意の金融以外への参入も図った。結果は「土地勘やノウハウがないので、他社と組んでシェアを取る作戦だったが、粗利益率が悪かった」(末貞氏)。前期の売り上げは約86億円だったが、粗利益率はわずか1.5%。こうしたビジネスからは撤退するという。

 「前期はディーラービジネスの決算だったが、その変革期のひずみを感じながら努力した1年だった。ユーザーが求めているサービスを提供するための通過点である」。末貞氏はこう位置付け、06年6月期以降に向けて新しい戦略を打ち出した。

 今期は売上高930億円(前期比17.8%増)、経常利益68億7400万円(同15.9%増)と、再び2ケタ成長に乗せる。そのため前期は増資や資金調達を実施。投資額は04年7月から05年12月までで236億円を予定する。具体的には地銀向け勘定系/情報系オンラインサービス、クレジット・信販オンラインサービス、外為システム、医療情報システムなどを推進するためのコア作りに87億円を投入。さらに他社が開発した医療情報システム、信販クレジットシステム、外為システムの著作権/営業権取得などに合計34億円を投資する。

 これらサービスビジネスを支えるため、データセンターの基盤作りにも60億円をかける。現在3カ所あるセンターをあたかも1つに見せるために自律コンピューティング技術を活用。さらにスーパーコンピュータや自律コンピューティング、大容量ストレージの運用管理など先端技術の研究、これら技術を活用した商品/ソリューション開発に13億円を投資する。IBMからスーパーコンピュータ「Blue Gene」のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、金融向けリスク分析などの市場も開拓する。発売は06年4月で、2年間の独占販売権を持っているという。

 ニイウスは3年間で投資を回収する方針だ。その達成に向け、06年1月にニイウスなど4社のグループ会社を統括する持株会社を設立する。グループ会社の事業目的を明確にするためだ。「ハードはメーカー間の格差がない。IBM製品でも、現在のアドバンテージはいずれはなくなるだろう。これからは技術、アプリケーションサービスで差をつける」(末貞氏)。ニイウスはここに舵を切り、勝ち抜いていく考えだ。