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 「1事業部1品運動を始めた。国内でシェアNo.1を実現させることを最優先にした」。この4月に通信事業からコンピュータ事業(ハードウエア)の責任者となったNECの山本正彦執行役員常務は、傘下の各事業部にシェアNo.1製品を作り上げろと檄を飛ばしている。コンピュータ事業は古巣の通信事業に比べて大きなシェアを持つなど目立った製品が少ないからだろう。

 NECのコンピュータ事業の売り上げは04年度に5000億円(このうちサーバーは約1300億円、ストレージは約300億円と見られる)。だが、価格競争の激化などから売り上げは伸び悩み傾向にあるし、営業利益率はわずか2%にとどまる。そんな中で、なんとかシェアNo1.製品を作り上げ、売り上げを年率数%で拡大させるとともに営業利益率を5~6%に引き上げる。これが当面の目標である。

 しかし、ハード開発費を増額する計画はない。10月25日に米ユニシスと次世代サーバーの共同開発など提携を発表しているが、それでも従来からの開発予算を増やす必要はないとしている。「一定額の中で新製品を開発する体質にする」(山本氏)。

 その1つは外注費の削減である。削減額はNEC全体で年間400億円だが、コンピュータ事業は数十億円を目標にしている。その一環からハード開発者に年間5~10%の開発生産性を高めるよう指示。原価管理も明確化する。「最初から開発原価を厳しくみていき、ムダな投資をなくす」(山本氏)。1人ひとりが、今自分が行っている開発工程におけるムダがないのかを考えることから取り組み始めたところだという。

 設計や部品の標準化も来年中に実施する。開発はスーパーコンピュータ、ハイエンドUNIXサーバー、IA32サーバー、大容量ストレージの4つに絞り込む。ただし、ハイエンドUNIXとIA32はユニシスと共同開発するインテル・プロセッサを搭載する次世代サーバーが後継機になるので、事実上3つになる。また、国内シェアNo.1のIAサーバー(Express5800)はシェアを現在の20%強から2~3年以内に30%に高めるために、「こだわりサーバーの開発と生産改革を進める」(山本氏)。こだわりサーバーとは水冷式やフォルトトレラント、薄型、静穏など付加価値の高いサーバーのこと。これらサーバーはExpress5800の売り上げの20%強を占めるが、1~2年以内に50%にし利益率を高める。

 その一方で、デルやHP(ヒューレット・パッカード)などと競合するローエンド機はWeb販売にも力を入れるとともに、生産コストの削減を徹底的に進める。製造子会社のNECコンピュータテクノはトヨタ生産方式やBTO(受注生産)方式の導入などで「中国に勝てるまでの生産革新を図った」(那須賢治社長)という。

 山本氏は、革新を生産から開発プロセスや業務プロセスに広げることで、No.1製品を開発していく考えだ。だが、コンピュータ事業の今後の方向について明確な回答はまだない。例えば「ストレージの課題はブランド力だ」とするが、どう高めるのだろう。将来像なしで、果たしてコンピュータ事業の成長路線を描けるのだろうか。