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人に付けるにはセキュリティが課題

 このように常に電波を発信するアクティブ型のICタグを持たせることは,本来の意図とは裏腹に,セキュリティ上の危険を招き入れる可能性がある。犯罪者がICタグ用の受信機を手に入れれば,悪意を持った所在確認にも使われてしまうからだ。産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センターの高木浩光主任研究員は,「同じ方式のICタグが広く使われるようになれば,受信装置も簡単に手に入るようになるでしょう」と指摘する。犯罪者が悪用する危険もそれだけ増えてしまうのだ。

 立教小学校も,いつまでも現在のやり方でいいとは考えていない。「米国では,アンテナからの電波を受け取ったときだけ電源をオンにするICタグがあるそうです。将来,このようなタグに切り替えることも考えています」(石井さん)。人に付けるICタグが広まるには,セキュリティ対策が不可欠だ。

将来はプライバシ侵害も問題に

 ICタグには,犯罪者による所在確認以外の危険性もある。将来,成りすましによる犯罪やプライバシ侵害が発生する可能性があるのだ。

 まずは成りすまし。IDをそのままやりとりする現在のICタグは,成りすましが防げない。リーダーとICタグの間でやりとりされる電波を盗み見て,それを再現すれば,あたかもそのICタグを持っているかのように振る舞える。

 駐輪券代わりに使うようなものであれば,成りすましにかかる費用に比べて得られる利益が見合わないため,危険は小さい。しかし,「今のICタグを鍵や電子マネーとして使うのは,危険すぎます」(高木浩光さん)。

 ICタグを身に付けて歩くような状況になれば,行く先々でICタグが読み取られ,暗号化されていても行動や持ち物が把握される危険性がある。

 もっとも,これらの課題は技術や運用の工夫で解決可能。例えば,ICカード以上のセキュリティ機能を備えさせるといった方法だ*。ともあれ,より身近でより広くICタグが使われるようになるには,ICタグ技術と運用ノウハウが進化する必要がある。