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仙台銀行は宮城県に本拠を置き,本支店71店舗を展開する地元密着型の地方銀行。他行との競争を優位に進めるため,コスト重視のベストエフォート型通信回線を使ったインターネットVPNを構築した。しかも,銀行としての信頼性,安定性を担保する仕組みを取り入れ,耐障害性を向上させた。

 宮城県全体の商品販売の85%が集中し,メガバンクのみならず他県近県の地銀,第二地銀が集まる銀行激戦区,仙台——。この地で1951年に創業した仙台銀行は,「競争力を強化するために,コストを抑えながらも情報系システムの強化を続けている」(企画部企画課の尾形毅課長,写真1)。そのシステムを支えるのが,“メリハリ”を利かせた同社の社内ネットワーク。専用線を使用した勘定系システムと,ベストエフォート型回線で構築したインターネットVPNによる情報系システムを組み合わせたものだ。

写真1 銀行業務の情報化を推進する企画部企画課の尾形毅課長(右)と,ネットワークの企画・設計に携わった事務部システム課の遠藤浩明課長補佐(左)。

 インターネットVPNは,アクセス回線にNTT東日本の「Bフレッツ」と「フレッツ・ADSL」を採用し,2005年10月に運用を開始した。Bフレッツを導入したのは本店だけで,他の70拠点はすべてフレッツ・ADSL()。同行はこの70拠点に及ぶADSL回線やVPNルーターを,いかに安価に効果的に管理できるかに腐心した。

 ベストエフォート型回線は“自己責任”が原則であるため,専用線などとは異なり通信事業者の手厚いサポートは期待できない。また,フレッツ・ADSLは個人ユーザーも対象としたサービスで,企業が複数拠点に導入することをあらかじめ考慮したサービスではない。こうした回線の特徴を十分認識したうえで,仙台銀行は障害時の対策などを充実させてベストエフォート型回線の信頼性向上を図った。

故障時は代替機に置き換えるだけ

 通常,フレッツ・ADSLは回線ごとにNTT東日本と契約し,導入後も回線障害情報などは回線個別に提供される。回線そのものの月額料金や初期導入コストは安価でも,回線数が増えると管理の手間がかかってしまう。さらに70店舗に設置したネットワーク機器の管理や障害対応も悩ましい。そんな悩みを解消する提案をしてきたのが,インターネットイニシアティブ(IIJ)だった。

 IIJとは,同行のWebサイト立ち上げ時からの付き合い。IIJが仙台銀行に対して提案したのは,(1)IIJのVPNルーター「SEILシリーズ」を使った「SMF」(SEIL Management Framework)の導入,(2)IIJがフレッツ向けに用意した「IIJ回線マネージメント/Fサービス」である。

 (1)は,IIJのVPNルーター「SEILシリーズ」の管理をIIJ側が一括して実施するもの。VPNルーターの設定情報はIIJ側が保有・管理。各拠点の機器には,フレッツ網を介して設定情報をIIJのセンター側から反映することができる。このため機器の障害時は,障害が発生した店舗にわざわざ技術者が行かなくても,現場の行員が代替機に入れ替えてケーブルを接続するだけでトラブル対応が終了する。

 一方の(2)は,IIJがユーザーの回線契約や手配,保守受付などを一元管理するサービスである。回線契約はIIJが窓口となり複数拠点分を一括して手続き代行してくれる。さらに各所に散らばる70拠点のフレッツ・ADSLにトラブルが発生しても,IIJ側が窓口となる。回線障害時は「NTT東日本ではなくIIJから情報を受け取る」(事務部システム課の遠藤浩明課長補佐)。障害発生時とその復旧のたびに仙台銀行の担当者にIIJから電子メールで報告が来るため,銀行側での監視の手間が省け,しかも安心した運用ができる。

 一般に「インターネットVPNを構築すると複数の業者が関係するため責任分解点が複数になり,問い合わせ先も一本化できない」と遠藤課長補佐は指摘する。それが,これらのサービスを導入することで対応の窓口がIIJに集約され,その結果ベストエフォート型の回線でありながらも,障害時の対応力が格段に向上した。

図 仙台銀行の情報系/勘定系ネットワーク 本店と各支店はBフレッツおよびフレッツ・ADSLを使ったインターネットVPNを情報系専用網として使用。VPNルーターにはIIJの「SEIL」を採用した。