記者という仕事柄,出先から自宅のファイル・サーバーにアクセスして,資料を漁りたくなることがよくある。しかし,実際にこれをやろうとすると,大きな壁となって立ちはだかるのが“電源問題”だ。自宅LANまでは入れても,そこから先,目的のパソコンにアクセスするには誰かがパソコンの電源を入れなければならない。
筆者の場合,これまではやむを得ずパソコンをつけっ放しにしていた。しかし,ほんの少し使うためだけに電気代を払い続けるのはあまりにも無駄。かといって,いざというときにリモート・アクセスできないのは困る---。そんな積年の悩みを解決してくれたのが,今日紹介する無線ブロードバンド・ルーター「WZR-RS-G54HP」だ。
対象マシンを勝手にリストアップ
インターネット経由でこのルーターにアクセスして設定用Webページを開くと,LAN内にあるパソコンが一覧表示される。そこで,起こしたいパソコンのアイコンをクリックする。すると,Wake on LAN(WOL:ウエイク・オン・ラン)というLAN経由でパソコンの電源を入れる機能を使って,ユーザーの代わりに電源を投入してくれる。起動可能なパソコンは,ルーターが勝手に探してくれるので,事前設定は必要ない。また,プロバイダから割り当てられるIPアドレスが変化する可能性があるときは,IPアドレスとドメイン名を動的に結びつけるダイナミックDNSを使いたくなるが,これも対応済み。さらに,ルーターとの間の通信は暗号化できるので,セキュリティ的にも安心だ。
リモート・アクセスに必要な機能を取り揃え,個人的には大満足のこのルーターだが,不満点を挙げるとすればその価格。実売価格が2万円前後と一般の無線ブロードバンド・ルーターと比べると少々高い。
ただ,電源問題で困っている人ならきっとこの製品の魅力はわかってもらえるはず。加えて,探してはみたものの,同種の製品がほかに見つからなかった。使い勝手に優れることもあり,しばらくこのルーターを手放せそうにない。
information
バッファロー
WZR-RS-G54HP
カテゴリ:無線ブロードバンド・ルーター
購入価格:約2万円(ネット通販で購入)
外形寸法:W38×H174×D140(脚部含まず)
ポート数:LAN×4,WAN×1
無線LAN:IEEE802.11b/g
著者紹介
著者の斉藤栄太郎は日経NETWORKの記者。暇を見つけては秋葉原やネット・オークションでネットワーク機器を漁り,便利グッズやレアものツールを見つけては悦に浸っている。ルーター,スイッチなどはもちろん,トークンリング機器,L3スイッチ,企業向けIP電話機までも自宅の一室に山高く積み上げている。一女の父となり,日増しに強くなる奥さんの冷たい視線にさらされながらも,めげずに日々獲物を探している。