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図1 各種PONのフレーム構成の違い イーサネット・フレームの場合を示した。B-PONは53バイト固定長のATMセルに分割収容して転送するが,G-PONは可変長のGEMフレームに個別収容して転送。可変長のフレームを用いるイーサネット系サービスを効率よく収容できる。
図1 各種PONのフレーム構成の違い イーサネット・フレームの場合を示した。B-PONは53バイト固定長のATMセルに分割収容して転送するが,G-PONは可変長のGEMフレームに個別収容して転送。可変長のフレームを用いるイーサネット系サービスを効率よく収容できる。
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表1 PONの各種方式 B-PONとG-PONは電話(POTS)やデータ(イーサネット),専用線(TDM)など,すべての電気通信サービスの収容が可能。一方のGE-PONはイーサネット・フレームに乗せられるサービスに限定している。
表1 PONの各種方式 B-PONとG-PONは電話(POTS)やデータ(イーサネット),専用線(TDM)など,すべての電気通信サービスの収容が可能。一方のGE-PONはイーサネット・フレームに乗せられるサービスに限定している。
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萩本 和男 NTT未来ねっと研究所 フォトニックトランスポートネットワーク研究部長
前田 洋一 NTTアクセスサービスシステム研究所 光アクセスシステムプロジェクト主幹研究員
中西 健治 NTTアクセスサービスシステム研究所 光アクセスシステムプロジェクト主任研究員

PON(passive optical network)方式の光アクセス・システムは,前回解説した「GE-PON」だけではありません。仕様の異なる様々なPONが標準化されています。今回は,PONの中でも最初に実用化された「B-PON」と,その改良版「G-PON」を紹介します。

 高速光アクセス・システムであるPONの中で,最初に実用化された国際標準仕様が「B-PON」です。1999年6月にNTTがATM(asynchronous transfer mode)専用線サービスとして世界で初めて商用化しました。2002年9月からはFTTHサービス「Bフレッツ」にも使われています。

 B-PONの仕様は,既存のすべての電気通信サービスを収容することを目的としてITU-Tが作成しました。電話サービスの音声やイーサネットのデータといったあらゆる信号を,53バイト固定長のATMセルに分割して伝送する仕組みです。97年に物理層仕様(G.983.1)が提案され,翌98年2月に仕様を固定,同年10月に承認されました。

 B-PONは,GE-PONが登場するまでの間,日本のFTTHサービスを支えたシステムといえます。もちろんまだ現役で,例えば,米国最大手の通信事業者ベライゾン・コミュニケーションズは,2005年末までにB-PONシステムを使って300万ユーザーにブロードバンド・サービスを提供する計画です。

B-PONを改良したG-PON

 B-PONはATMを採用したため,いくつかの課題も残りました。可変長であるイーサネット・フレームの収容効率が悪い,低コスト化が困難といった点です。これらを解消するためにITU-Tが国際標準化した新規格が「G-PON」です。

 G-PONは,すべての電気通信サービスを収容するというB-PONの目的はそのままに,イーサネット・フレームを効率よく収容できるフレーム構成を採用。また,上り下りで2.48Gビット/秒のメニューを用意するなど,高速化も実現しました。

 G-PONでは,ATM以外のサービスをGEM(G-PON encapsulation method)という新しく定義した可変長のフレームに収めます(図1)。このGEMフレームとATMセルをまとめて,GTC(G-PON transmission convergence)という125マイクロ秒周期の固定長フレームに収容。このフレームは,従来の電気通信サービスの基本時間単位と同じ周期として定義したため,電話や専用線といった既存サービスも効率よく収容できます。

 G-PONの標準化は,2002年5月のサービス要求条件(G.984.1),物理層仕様(G.984.2)からスタートし,2004年2月に一連の規格化が完了しました。商用化は2005年末から2006年になるもようです。フルサービスを収容できる大規模対応の製品の登場が待たれます。

 欧米の通信事業者は次世代のブロードバンド光アクセス・システムとしてG-PONに関心を示しており,FSAN(Full Service Access Networks)というコンソーシアムで機器の調達仕様を作成するなど,実用化に熱心です。

GE-PONよりも速度メニューが豊富

 PON方式のまとめとして,B-PON,G-PON,GE-PONの3方式を比較してみます(表1)。フルサービスを収容できるB-PONとG-PON,イーサネット・フレームに乗せられるサービスに限定したGE-PONに大きく分けられます。

 B-PONとG-PONは,GE-PONに比べて自由度の高い仕様です。例えば,B-PONとG-PONは上り速度と下り速度に複数のメニューを用意。それぞれが独立して選択でき,トラフィックの需要に応じて通信事業者がシステムを最適化できます。一方のGE-PONは,上り下り共に1.25Gビット/秒だけのメニューです。このような特徴に応じて,これからも様々なPONシステムが通信サービスにおいて使い分けられていくと考えられます。

 次回は,これまで実用化されてきたPON以外の光アクセス方式をまとめて紹介します。