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ガートナー ジャパンの石渡昭好主席アナリスト
ガートナー ジャパンの石渡昭好主席アナリスト
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 ガートナー ジャパンは12月上旬,急激に変化を遂げる通信業界の将来を大胆に予測した「通信市場:日本の将来」というリポートをまとめた。垂直統合型の従来のネットワーク構造から,各レイヤーごとに水平に分かれたネットワーク構造に変わることで,通信事業者の役割にも変化が訪れるという。このリポートのネットワーク・インフラ部分を担当したガートナー ジャパン ガートナー リサーチ コミュニケーションズ グループ テレコム/ネットワーキング担当の石渡昭好主席アナリストに,通信事業者の将来の姿を聞いた。(聞き手は堀越 功=日経コミュニケーション

--NTTが次世代ネットワークの構築ロードマップを発表したり,KDDIが固定と携帯を融合した「ウルトラ3G」構想を明らかにするなど,通信事業者の構造変化が目立ってきている。

 通信事業者は,サービスごとに垂直統合した従来のネットワーク構造から,アクセス網やIP伝送網,サービス提供網などレイヤーごとに分かれるネットワークへと大きく舵を切っている。こうしたレイヤー別のネットワークが実現すると,アクセス網によらないシームレスな通信サービスを提供できたり,さまざまなサービスを水平展開できる。ユーザーのニーズに応えるためにも,これは必然的な流れと言える。

--レイヤー別ネットワーク構造に移行した場合,通信事業者の役割は大きく変わると見ているか。

 通信事業者にとってみれば,ネットワーク運営やサポートをできるだけ切り離したいのが本音だろう。トラブル対応能力やインテグレーション能力は,システム・インテグレータも持つ。これを2重に持つ必要はない。これまで通信事業者が担当していたネットワーク運営やサポート部分は,システム・インテグレータが請け負う形に変わっていくだろう。

 そうなると近い将来の通信事業者の役割は,エンドユーザーのニーズをいち早くつかんでサービスを開発する方向に変化する。通信事業者は,運営能力ではなく企画能力が重要になるだろう。そこでの勝負が,通信事業者間の競争を左右する。

--最近,通信事業者は,ユーザー・ニーズが多様化している現実を頻繁に口にしている。こうしたニーズに応えれば応えるほど,通信事業は儲かりにくいビジネスになるのではないか。

 確かにその通りだ。多様化したユーザーのニーズに応えていくと,なんでも手に入るスーパーマーケットのような品ぞろえが必要になる。しかしスーパーマーケットで薄利多売の商売を進めると,ますます自分の首を絞めることになる。

 こうならないために,通信事業者はスーパーではなくコンビニエンスストアのようなサービス形態を目指す必要があるのではないか。コンビニでは,顧客のニーズに沿って棚に並べる商品を選び,商品も安売りしていない。通信事業者もニーズごとに専門部門や子会社を多数展開して,多様化したユーザーのニーズに応えていくべきだろう。もちろんそのためには,それぞれの“店舗”ごとにきちんと売り上げを伸ばせる経営者も不可欠だ。