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図●対象の絞り込みが検討されているIT投資促進税制
図●対象の絞り込みが検討されているIT投資促進税制
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2006年3月、IT投資促進を目的にした減税措置の期限が切れる。存続か廃止かを巡る議論が大詰めを迎える中、減税対象を絞り込むための基準として、セキュリティの国際標準規格ISO/IEC 15408が浮上した。しかし、運用上の課題は小さくない。

 IT投資促進税制(IT投資減税)は、ハードやソフト/サービスの取得金額に対し、10%の税額控除もしくは50%の特別償却を認めるもの。2003年1月から05年度までの時限措置として制定された。「年間6000億円の減税効果」(経済産業省)があっただけに、経済界や産業界からは、その存続を求める声は小さくない。

 しかし、首相の諮問機関である政府税制調査会が11月25日、「3年間の時限措置とされた経緯を十分に踏まえる必要がある」として、IT投資減税に事実上の廃止を迫る答申が出たことから、12月5日時点でもなお、存続に向けた議論が続いている。減税対象をどう絞り込むかが最大の焦点だ。

 絞り込みの基準として浮上しているのが、セキュリティ関連の国際標準規格であるISO/IEC15408。自民党の経済産業部会が継続案として、「セキュリティ強化と国際競争力強化の観点から、高度なセキュリティが確保されたソフトを活用する戦略的投資に対して税制上の措置を講ずる」ことを名目に、「戦略システム・セキュリティ投資促進税制(仮)」に“衣替え”することを提示したのが発端だ([拡大表示])。

 ISO/IEC15408は、セキュリティに関する仕様書の内容と、その評価・認証の方法を定めたもの。認証対象は、複写機などの専用機単位や、OSやミドルウエアといったソフト製品、さらにはシステム全体でも良い。

 ここで課題になるのは、ISO/IEC15408をどのように適用するか。大きく三つのケースが考えられる。ケース1は、認証済みの製品だけを減税対象にすること。最も対象範囲が狭いので、減税効果は薄い。

 ケース2は、ISO/IEC15408の認証を受けた製品を使っているシステム全体を減税対象にすることだ。IT投資減税継続を推す経産省が期待するシナリオだが、減税額が現行のIT投資減税と大差がないため、財務省の意向には沿わない。

 三つ目のケースは、減税対象にしたいシステム全体にISO/IEC15408の認証取得を条件にすることだ。しかし、認証取得のためのコストや負担が新たに発生する。ISO/IEC15408関連コンサルティング・サービスを提供する、みずほ情報総研によれば、「認証を受けるには、最低でも1000万円はかかる」という。システム規模によっては、減税額が相殺される可能性もある。

 政府は有効なIT投資減税策を打ち出し、増収増益を果たした企業からの法人税を期待するような考え方が必要だ。