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 本連載も今回で最終回を迎えます。今回は,無料化された「Visual C++ 2005 Express Edition(VCEE)」関連のニュース・グループを例に挙げ,ニュース・グループに参加する魅力を紹介したいと思います。

VCEEニュース・グループをのぞいてみる

 VCEEは一部の機能が制限されているとはいえ,れっきとしたVisual C++ 2003開発環境の後継です。新しい環境が登場すると,以前の環境との互換性をはじめとするさまざまな問題が発生する可能性があります。このような場合,新しい環境のニュース・グループに参加し,同じような問題に遭遇した人が投稿する記事を参考にすると便利です。もしかすると,解決策が公開されている可能性もあります。

 米国版VCEEは2005年11月中旬に一般公開されました。筆者は,この新しい開発環境公開直後のユーザーの生の声に接したいと思い,オープンされたばかりのVCEE(とC++関連)のニュース・グループに参加しました。実際に参加してみると,次のようなさまざまな問題が起こっていることが分かりました。

  • β版の環境がアンインストールできない
  • 新しい環境がインストールできない
  • インストールした開発環境がうまく動作しない
  • ソースコードがビルドできない
  • ビルドしたプログラムがうまく動作しない
  • 以前のプロジェクトがビルドできない
  • 以前のプロジェクトをビルドできたが,実行時にエラーが出る
  • 型変換などのちょっとした技術的な問題に遭遇した
  • VCEEでは,MFCとATLアプリケーションをビルドできない
  • 適切なドキュメントが見つからない
  • 公開されているサンプル・プログラムがビルドできない
  • VCEEはなぜ一部機能を制限しているのか
  • どこから手を付けてよいのか分からない

開発者本人に尋ねる

 例えば、ニュース・グループに投稿されたこの記事では,インターネットで公開されているサンプル・プログラムがビルドできないことを訴え,その原因を尋ねています。投稿記事を読んでみると,サンプル・プログラムのビルド処理はスキップされています。最大の原因は,このサンプル・プログラムが32ビット・アプリケーションではなく,64ビットItanium用の構成となっていることです。このため,32ビットWindows環境でビルドする場合には,ターゲット・プラットフォームをItaniumからWin32に変更する必要があります。

 投稿者は別の投稿者の助言を受けてターゲット・プラットフォームをWin32に変更し,ビルド処理を繰り返しました。しかし今度は,リンク・エラーが出て,最後までビルドできません。この投稿者はさまざまなドキュメントに目を通したようです。しかし,そのかいもなく,正常にビルドできず,(本稿執筆時点では)VCEEの継続使用を断念したようです。

 実は筆者もこの議論には参加しているのですが,投稿者は基礎力が不足していると感じました。本来なら,米Microsoftの関係者が直接回答を出す性質のものですが,すでに解決済みの問題と判断したため,沈黙を守っています。

 別のニュース・グループの投稿記事を紹介しておきましょう。こちらの投稿は,GCCやIntelコンパイラでは問題が起きなかったC++のソースコードをVCEEでビルドすると,エラーが返されたことを指摘し,その対処法を尋ねています。対処法をめぐり他の投稿者が参加し,議論が展開されています。ある人は,これはコンパイラのバグでないか,と発言します。この発言を目にしたMicrosoft社のVC++チームメンバーの1人は,沈黙を破り,議論に参加し,彼らが作成した最新コンパイラは標準C++仕様に準拠していることを強調します。

 筆者は議論の様子を興味深く見ていましたが,新しい時代の到来を感じずにはいられませんでした。開発者本人がインターネットの表舞台に登場し,ユーザーと直接交流しているのです。筆者は,ソフトウエアの開発者はこのように時代の流れにうまく乗る必要があると考えています。製品に関する疑問があれば,それを開発した本人に尋ねる。筆者は,興味あるニュース・グループには大いに参加しようと考えています。

 投稿記事の中には,製品に潜むエラーを指摘するものもあります。Microsoft社の開発チームはそのバグの存在を確認し,次回版で修正するとの回答をすることもあります。ちなみに,Microsoft社の開発者がインターネットの前面に登場し,ユーザーと直接交流する案は,上司からの指示ではなく,現場から上がったといわれます。参加するニュース・グループや議論の様子などは,筆者の個人サイトに公開する予定です。お時間のある方は,ぜひご訪問ください。

 本連載は今回を持って終了いたします。皆様の長きにわたるご支援に感謝いたします。ありがとうございました。またどこかでお会いいたしましょう。

今回のまとめ

  • 技術問題について開発者本人と議論できるようになった
  • 記事を投稿するには、基礎知識を持つことが大切である