日経BP社は2月1日から3日まで,東京ビッグサイト(東京都江東区)においてIT関連の総合展示会NET&COM 2006を開催する。情報システムゾーン,ネットワークゾーン,セキュリティゾーンの3ゾーンで,約250社の企業・団体の展示やデモを見ることができる。
企業情報システムの構築・運用をテーマにしている情報システムゾーンには,80社を超える企業・団体が出展する。こちらでは,ICタグ(RFID),ディザスタ・リカバリ,情報漏洩対策といった,今が旬のキーワードに即した製品やサービスが数多く展示される(表1[拡大表示])。この記事では,情報システムゾーンで見ることのできる展示やデモの例を紹介する。
ICタグで物品の位置確認
情報システムゾーン内にあるRFIDパビリオンには,日立情報システムズ,三菱電機,NECが出展する。日立情報システムズは,テープやCD-ROMにICタグを付けて管理するためのパッケージ製品Chipin/Mediaを使ったデモを,三菱電機はUHF帯ICタグを使って複数のICタグを一瞬で読み取るデモをそれぞれ実施する。NECが展示するのはLocation Based Alertソリューション(図1[拡大表示])。物品に取り付けたICタグから,物品の属性データと,その物品がどこにあるかという位置データを受け取り,地図上にリアルタイムに表示するシステムである。ICタグのデータを格納するOracle Database 10g,Oracle Application Server上で稼働する位置情報表示ソフトOracle Location-Based Services フレームワーク,ミドルウエアのRFIDManagerv構成する。RFIDManagerは,ICタグから受け取ったIDと実データのヒモ付けや,ICタグへの読み取りや書き込み指示といったリーダー/ライターの制御などの機能を備える。
会場では,ICタグ・システムと位置情報表示サーバー,SIPサーバーを連携させたデモを実施する。PCの不正な持ち出しをICタグで感知すると,そのデータをSIPサーバーに送信し,SIPサーバーはシステム管理者のIP電話へ自動でアラートを発信するといった動きになる。
こうしたシステムをベースにすれば,物品の移動などをきっかけに,システムで管理している物品の在庫数を自動で加減する,取引先に出荷を知らせる,不正な持ち出しと判断してアラートを発する---といったシステムを構築することが可能になる。オフィス機器の資産管理や,病院内の医療機器の管理,倉庫内のコンテナ管理といった用途を想定している。
携帯でスケジュール管理
ボーダフォンとNECソフトは,携帯電話を組み込んだシステムをそれぞれ展示する。ボーダフォンが出展するのは,ボーダフォン・オフィス・メール。これは,グループウエアの「Exchange Server」で管理している電子メールやスケジュール表,アドレス帳を,携帯電話(Vodafone 702NK!))から閲覧,編集できるというもの(画面1[拡大表示])。
Exchange Server側に変更があると,インターネット上にあるボーダフォンの管理するボーダフォン・オフィス・メール・サーバーに差分データが送信される。このサーバーは,受け取ったデータに含まれるIDから,どの携帯電話に送信するものかを判断し,該当する携帯電話にデータを送信する。このサーバーと携帯電話は常時セッションを張っているので,ほぼリアルタイムにデータを受け取れる。
データはExchange Serverから携帯電話までAESで暗号化され,かつSSL通信で送られる。ボーダフォン 法人営業サポート部の大石和哉氏は,「通信時はSSL用のポート443しか使わないので,ファイアウォールなどの設定変更も必要ない。安全かつすぐに使えるのが特徴」とセキュリティの高さと手軽さを強調する。
メールで安否確認
NECソフトは,災害時などの緊急時に携帯電話で社員の安否を確認するサービス3rdWATCHを紹介する。同社はこのサービスを,遠隔地へデータをバックアップする装置MelodiousStorや,システムを継続利用するためのデータセンターを使ったサービスバリューソーシングなどと同様に,災害時にビジネスを継続するためのものと位置づけている。いくらシステムが存続しても,「使う人がいなければビジネスは継続できない」(営業本部マーケティングマネージャーの吉田俊夫氏)という考えである。
3rdWATCHは,震度5弱以上の地震が発生する,またはシステム管理者が安否確認サーバーにアクセスすることで,各社員の携帯電話に電子メールを送信するサービスである。電子メールの文面は,「A.無事です。すぐに事務所へ行けます」,「B.無事ですが,事務所へは行けません」,「C.ケガをしています。移動できません」となっており,メールを受け取った社員はそれらから一つを選択することで安否を通知できる。
3DコンテンツをExcelで作成
ITの総合展示会だけあって,ユニークな出展もある。NTTソフトウェアが出展するSpaceBrowserは,Webブラウザ上にコンテンツを3次元に表示するソフトウエアである。Internet Explorer(IE)のプラグインとして動作し,視点の変更などの操作が可能だ。会場では,ワインや不動産を紹介するWebサイトを模したデモを実施する。ワイン紹介サイトの場合,香り,酸味の強さ,価格をそれぞれ軸に取り,ワインの画像を3次元空間に配置する(画面2[拡大表示])。特定銘柄のワインをクリックすると,詳細情報を閲覧できる仕組みである。不動産紹介サイトの場合は,駅からの距離や広さ,築年数などで物件の写真を配置する。NTTソフトウェア 営業戦略本部の佐々木文子氏は,「コンテンツを3次元に配置できるので,ブラウザという狭い空間にたくさんの情報を分かりやすく表示できる」と,SpaceBrowserのメリットを語る。
一般に3次元コンテンツの作成や維持管理は大変だというイメージがあるが,SpaceBrowserは「専門のスキルが無くてもコンテンツ作成ができるようにした」(佐々木氏)という。コンテンツの作成は,Excel形式のファイルに,コンテンツの配置場所や個数,スクロール方向(縦,横)などのパラメータを入力すればよい。このExcelファイルに基づいてXML形式のファイルを作成し,そのファイルをWebサーバー上に配置する。IEのプラグインはWebサーバー上のXMLファイルを読み取り,ブラウザ上で3次元表示する。