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図6 ファームウエアの更新で同じ製品を使っていても機能が増えて性能が向上していく<BR>(ヤマハのRTX1000における代表的な強化の例)
図6 ファームウエアの更新で同じ製品を使っていても機能が増えて性能が向上していく<BR>(ヤマハのRTX1000における代表的な強化の例)
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図7 ファームウエアや設定情報は複数同時に保存できるのが一般的&lt;BR&gt;起動時に切り替えるだけで,ルーターの状態を簡単に変えられる。ファーム上の入れ替えや設定の変更の際に,万が一トラブルが発生した場合のバックアップとしても使える。パソコン上の管理ソフトでそれらの情報を管理し,必要に応じて配布することもできる。
図7 ファームウエアや設定情報は複数同時に保存できるのが一般的<BR>起動時に切り替えるだけで,ルーターの状態を簡単に変えられる。ファーム上の入れ替えや設定の変更の際に,万が一トラブルが発生した場合のバックアップとしても使える。パソコン上の管理ソフトでそれらの情報を管理し,必要に応じて配布することもできる。
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家庭向けに比べ製品の寿命が長い

 ここまでは主に機能について説明してきた。最後に,それ以外の部分についても触れておこう。

 まず,製品の寿命が長いことがオフィス向けブロードバンド・ルーターの特徴といえよう。家庭向けのものは,古くなると気軽に買い換えられる。そのため,長くて2~3年,場合によっては数カ月で新しい機種に入れ替えていることが多いだろう。

 一方,企業向けの製品は資産としてまとめて購入することが多い。そのため,いったん導入すると長く使い続けられることが多く,場合によっては5年以上も使われる。

 その間に,ネットワーク技術は進歩していく。そこで,オフィス向けブロードバンド・ルーターでは,ファームウエアの更新という形で製品出荷後に機能を随時追加するようになっている。

 ファームウエアとは,ハードウエアに組み込まれている基本的なソフトウエアのこと。ブロードバンド・ルーターの場合は,その動作の多くの部分をソフトウエアで記述されているため,ファームウエアを替えることで,比較的柔軟に新しい機能に対応できる。

 家庭向けのブロードバンド・ルーターもファームウエアの更新はある。ただし,ほとんどは不具合の修正が主体であり,魅力ある機能が盛り込まれることはあまりない。

ファームウエアの更新で製品を強化

 では,オフィス向けブロードバンド・ルーターのファームウエアはどうだろう。2002年10月に出荷されたヤマハのRTX1000の場合を見てみよう(図6[拡大表示])。今では当たり前の機能になっている回線バックアップやQoS,Wake on LAN*対応などの機能は,製品の出荷後に追加されていることがわかる。

 ファームウエアの更新によって性能も改善されることが多い。これは「製品出荷当初は機能を搭載することを最優先し,その後に安定性を確保しながらチューニングしていくのが基本的なスタンス」(古河電気工業 情報通信カンパニーネットワーク製品部の松井 剛生課長補佐)だからだ。例えば,ファームウエアの更新によって,NECの製品ではIPsecのスループットを出荷時の1.5倍に,古河電工の製品ではショートパケットの性能を約2倍に改善している。

 このように,ファームウエアを更新することで,オフィス向けブロードバンド・ルーターは導入後も強化されていく製品である。製品を提供する各社も,新しいファームウエアを数カ月おきに定期的に提供している。

複数のファームウエアを保存

 ファームウエアの更新は,必ずしも機能や性能が向上するというメリットだけではない。ファームウエアを更新することでトラブルが発生するという危険性もある。

 ファームウエアのバージョンによって接続できない相手が存在したり,仕様が変更されてそれまで使えていた機能が無効になったりすることもある。

 そこで,オフィス向けブロードバンド・ルーターでは,複数のファームウエアを同時に保存できるようになっている(図7[拡大表示])。これを使って,例えばそれまでのファームウエアは保存したままの状態で,新しいファームウエアをインストールする形の更新が可能になる。もし,新しいファームウエアで不具合が発生したら,すぐに以前のファームウエアに戻せばよい。

 また,ファームウエアだけでなく,設定情報も同時に保存できる。保存できる設定の種類は二つあるいは六つといった違いはあるが,複数の設定を同時に保存できる製品がほとんどだ。これにより,以前の設定をバックアップとして保存できるだけでなく,例えば時間帯によって動作を替えるといった運用が簡単になる。

パソコンからGUIで一括管理できる

 ブロードバンド・ルーターを,大量に利用している場合,それらのすべてについて設定やファームウエアを管理するのは大変だ。単純にファームウエアを更新するだけでも一苦労である。

 そこで,複数のルーターについて,パソコンからまとめて管理するためのツールが各社から提供されている。これらを使えば,それぞれのルーターに組み込まれているファームウエアや設定情報がGUI画面で簡単に確認できる。ファームウエアの更新や設定変更といった作業も,このGUI画面から一括して操作できる。