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表1 AURORAの主要機能
表1 AURORAの主要機能
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図1 光線路試験システム「AURORA(automatic optical fiber operations support system)」の構成 アクセス系の光ファイバを遠隔から試験監視するシステム。光試験モジュール(OTM)から任意の光ファイバに試験光を流し,ユーザー宅までの光ファイバの接続の損失やファイバの劣化具合を測定できる。
図1 光線路試験システム「AURORA(automatic optical fiber operations support system)」の構成 アクセス系の光ファイバを遠隔から試験監視するシステム。光試験モジュール(OTM)から任意の光ファイバに試験光を流し,ユーザー宅までの光ファイバの接続の損失やファイバの劣化具合を測定できる。
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写真1 AURORAの操作環境
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写真2 試験光を発射するOTM
写真2 試験光を発射するOTM
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萩本 和男 NTT未来ねっと研究所 所長
山内 修 NTTアクセスサービスシステム研究所 第二推進プロジェクト プロジェクトマネージャー
有居 正仁 NTTアクセスサービスシステム研究所 第二推進プロジェクト ディレクター

光ファイバ網を用いたサービスの需要が高まるにつれ,光ファイバ設備の保守や信頼性の向上がますます重要となります。故障発生時の迅速な対応も欠かせません。今回は,光ファイバの効率的な保守運用を可能にした試験監視システムを紹介します。

 FTTHサービスの普及ペースを加速させていくためには,保守運用の効率化が不可欠です。光ケーブルの敷設や移設時の迅速な試験はもちろん,故障発生を事前に防ぐことや故障発生時の素早い対応が求められます。保守運用コストの削減も重要です。

 こうした要求に応えるべく,NTTが実用化したのが,光ファイバを遠隔から試験監視するシステム「AURORA(automatic optical fiber operations support system)」です。

利用中の光ファイバを止めることなく試験

 AURORAは,ユーザーがサービス利用中の光ファイバに対して,ファイバの劣化や接続点の損失を試験するシステムです。実際に現場に行かなくても,遠隔操作によりユーザーが利用中の通信回線を止めることなく試験監視に使えます。大量の光ファイバの保守運用には多くの時間と要員を費やす必要がありますが,AURORAを利用することで,これらの業務も効率的に実施可能です。もちろん対応の迅速化やコスト削減にもつながります。

 AURORAの機能は表1[拡大表示]の通りです。主に光ファイバ敷設後の建設工事にかかわる試験と,故障時の対応といった保守に関連する試験ができます。

 建設工事につながる試験では,光ファイバの接続点や光ケーブル区間の損失を測定。それを自動で解析し,設備の品質を確認できます。

 保守に関係する試験では,光ファイバ区間と伝送装置との故障個所の切り分けが可能。さらに故障個所を特定し,迅速に復旧作業するための情報を提供します。

 また,故障発生を事前に防ぐ試験として,光ファイバの劣化や接続部の浸水も検知できます。

試験光は通信サービスに影響を与えず

 AURORAは,様々なユニットで構成します(図1[拡大表示])。実際の試験は,通信回線を経由した操作端末(写真1[拡大表示])から遠隔指示。光試験モジュール(OTM)が,保守拠点に設置した光ファイバの設備情報を持つデータベース(AURORAサーバー)を参照しつつ実施します。

 OTMは,ユーザー宅へとつながる光ファイバを収容するIDM(integrated distribution module)内に設置してあります(写真2[拡大表示])。ファイバ・セレクターを用いて任意の光ファイバ心線を選択し,OTMが試験光を光ファイバに挿入することで,様々な試験を遂行するという仕組みです。

 例えば,任意の光ファイバに試験光を挿入し,光ファイバ内で反射してOTMに戻ってきた光を解析することで,接続点の損失や反射を調査できます。これらの試験結果を,データベースと照らし合わすことで,どの設備のどこで故障が発生しているのかを特定可能です。

 AURORAの試験光の波長は,通常の通信サービスでは使われていない1650nm帯を利用します。そのため,通信サービスに影響を及ぼすことなく利用中の光ファイバに対して各種試験を実施できます。1650nm帯は,国際標準化機関であるITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)において,光ファイバ網の保守用の波長帯として標準化されています(ITU-T L.41)。

 なお,ユーザー宅の伝送装置(ONU)の直前には,試験光を遮断し,通信サービスに利用する波長のみを透過する「ターミネーション・フィルタ」も組み込まれています。これにより,試験光が利用者宅の通信品質に影響を与えることはありません。

接続点の浸水も検知

 光ファイバの地下の接続部には,浸水検知モジュールが挿入されています。これは,通信サービス用とは別の保守用光ファイバに設置。浸水すると,この光ファイバに曲げによる損失が発生します。この損失の変動を監視することで浸水の有無が分かる仕組みです。保守用光ファイバは,通信サービス用光ファイバよりも影響が出やすい状況を作り出しているため,サービスに影響が出る前に浸水がわかります。

 次回は様々なサービスを光波長で多重する「CWDM(coarse wavelength division multiplexing)」について解説します。