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 立てた仮説が本当に正しいかどうかは、よく分からない。重要なことは、仮説を検証し、今後の提案につながる真のニーズを引き出すことだ。そのため仮説を基にインタビューの方針を立て、インタビューを効果的に行うためのプレ資料を作成することが重要になる。

(小野 泰稔=コンサルティング・フェア・ブレイン代表取締役)



これまでの経緯
 ヘルシー食品は食料品の店舗販売と通販事業を会員制で運営しているが、収益面で伸び悩んでいた。ヘルシー食品の事業開発室の梅田氏とのインタビューを8日後に控えた私は、訪問に向けて準備を開始した。電話で聞いた梅田氏の問題意識から、新規事業に対する仮説を立てた。通販事業の市場予測など様々な情報を収集・分析し、プレ提案書を作成した。

注)本記事に登場する社名、氏名はすべて仮名です

 前回は、ヘルシー食品が抱える経営課題に対する仮説を立てるところまで解説した。この案件のきっかけが新規事業の企画であったことから考えても、経営課題の解決につながる提案を求められていることは間違いない。しかし、現時点では立てた仮説が本当に正しいかどうかは、よく分からないというのが正直なところである。

 後日、顧客を訪問するときに、立てた仮説を検証し、さらには今後の提案につながる真のニーズを引き出さなければならないのである。そのために今やるべきことは、仮説を基にインタビューの方針を立て、インタビューを効果的に行うための資料を作成することである。

 私はこのとき、インタビューの方針を次のように考えた。特に、だれから、何を、どのようにして聞くかということが方針の骨格になる。

(1)だれから(インタビューの相手)
新規事業開発室 梅田氏 ほか情報システム部から1名(予定)

(2)聞きたいこと
当方で考えた経営課題仮説がヘルシー食品の考える経営課題とマッチしているか

(3)聞くための方法
いきなり経営課題について突っ込んだ話ができるとも思えないため、ヘルシー食品が興味を持っていると思われるインターネット通販事業についての話を進める中で、間接的にヘルシー食品の持つ構造的な経営課題について探る

(4)提案への想定
インターネットを利用した新規事業の姿と経営課題解決への道筋とを合わせて描くことができれば、受注につながる可能性があると想定する

場面を想像し資料の構成を決める

 以上のインタビュー方針に基づいて、資料を作成することにした。資料の内容は、実際のインタビューの場面を想像しながら、その進行を頭の中で何度かシミュレーションしてみた結果、次のような構成にすることに決めた。

(1)インタビューの最初にインターネット通販事業について話しやすい雰囲気を作るための導入資料
(2)インターネット通販のビジネスモデルについて(一般論として)共通の認識を持つための説明資料
(3)インターネット通販について、梅田氏は競合他社や市場の動向に興味があるため、これを示す資料(梅田氏との約束でもある)
(4)ヘルシー食品では採算性などを懸念しているため、事業展開において想定される課題を議論するための資料
(5)ヘルシー食品が実際にインターネット通販に進出する時のイメージをある程度具体的に議論するための資料(現状の通販事業の強化を目的とした場合と店舗販売事業の強化を目的とした場合の2つのイメージを用意する)
(6)どうしたら次の一歩を踏み出すことができるのか、現実感のある今後のステップの踏み方を議論するための資料

図1●提案書の表紙

▲図をクリックすると拡大表示
 このような観点から作成したのが、次の「インターネット通販事業のご紹介」のプレ提案書である(図1図12)。目次も、ほぼこの構成に沿ったものになっている。インタビューの流れを想定しながら作成しているため、この構成イメージを念頭に置きながら資料を読んでみていただきたい。

 例えば、いきなり提案内容に入るのではなく、まずは一般論から入って話しやすい雰囲気を作るため、基本的な方向性について認識を合わせるための資料である「インターネット通販が試みられる背景」を用意した(図3)。さらに「インターネットを活用した通販モデル」として、一般的なインターネット通販のビジネスモデルについて認識を合わせるための資料も用意している(図4)。事前に互いの意識を共通化しておかないと、具体的な話をするための土台を共有できないからである。

 次回は、この資料を持って客先を訪問し、インタビューを行う段階である。インタビューでの会話などを詳細に再現したい。

今回、筆者が作成したプレ提案書(パワーポイントのファイル,ZIP形式で圧縮)は、こちらからダウンロードできます。

著者プロフィール
情報サービス会社でシステム構築の一連の業務に携わった後、トーマツ コンサルティングのマネジャーのほか、社団法人・日本能率協会の専任講師も務める。IT戦略、システム化計画、システム開発方法論のカスタマイズ・提供など、ITを中心としたコンサルティングと人材育成を行っている。現在はコンサルティング・フェア・ブレイン代表取締役