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LANケーブル作成中。自作にすっかり慣れてしまいました。既製品買うのをためらうという悪い癖が・・・。(写真:エイジ)

from 担当編集者(4件)
*1
イーサネットが採用しているアクセス制御方式です。carrier sense multiple access/collision detectionの略。
*2
インター博士とネット助手のことですね。「3分間NetWorking」では,この二人の会話でネットワークの勉強が進んでいきます。
*3
ゲーム好きのエイジさんならではの例えですね。なんでもネットワーク参加型RPGは,ハマりすぎて“廃人”になってしまうことが怖く,手を出すのを控えているとか。
*4
電気信号は光速の7割程度の速さで伝わります。ものすごく速いとはいえ,伝わるための時間が必要です。そのため,信号が届く前にほかの端末が(ほぼ同時に)信号を送ってしまうと信号が衝突します。

 

 昔,どうしてもわからなかったことがあったんです。それは,「イーサネットのCSMA/CD*1で,ほかの誰もデータを送信していないことを確認して送っているのに,なんで衝突検出が必要なのか?」という疑問です。誰も送信していないから送信する。それなら衝突は起こりそうにないのに,衝突検出をしなければならない。なんかおかしくないか?これ。

 いろいろ調べたりしたけれど,一向にわからない。「CSMA/CDとは,誰も送信していないことを確認して送信する。衝突が発生したらバックオフして再送信」。本やWebサイトもみんなこれ。いやいやいや,だからなんでよ?

 僕のWebサイトでは,教える役の「博士」と聞き役の「助手」が登場します*2。この助手がどうにも理解が悪く,とんちんかんな質問をして博士に怒られたりします。あれは昔の僕の姿です。ずいぶんマヌケな助手でしょ?

 僕がどうやってその「マヌケな助手」から脱却しようとしたかと言えば,「自分で調べる」と「人から聞く」それから「人がやっていることを盗み見る」かな。

 まず,自分で勉強する。そしてわからないことを調べる。それでもわからなければ人に聞く。僕がよく教えを請うたのは,僕の前任のネットワーク管理者で,いわば僕のネットワークのお師匠さんにあたる人です。

 この人が煙草を吸いに休み時間に喫煙室へ行く。それを見計らってついていって,雑談風に何気なく「そういえば,○○ってなんでこうなんですかねー」なんて切り出して。はっきり言って,その場では説明されたことの半分も理解できないんですよ。でもわかったふりして「うんうん」なんて言ってとりあえず全部聞く。そして喫煙室から戻って自分の机に着いたら,さっそく知らない単語とかを検索して調べて理解する。この繰り返し。

 それから,トラブル・シューティングをしているときや,機器やソフトに設定をしてるところになるべく顔を出して盗み見する。そのときに疑問があってもそのときは聞かない,作業の邪魔だから。で,またあとで喫煙室で聞く。「あの時やってた設定って・・・」。  そんなことが続いていくうちに,「ちょっとやってみる?」,「ぜひぜひぜひ,やらせてください」。そんな繰り返し。もしお師匠さんがコレ読んだら苦笑いするだろうな,きっと。

体験に知識を加えて経験に変える

 結局,学習するってこういうことなのかな。自分の勉強だけでは行き詰まることが多いですしね。それによく「先輩の技術を盗み取れ」なんて言葉を目や耳にします。それってやっぱり有効な手段だと思います。

 でも,師匠のテクニックをただ見ているだけじゃ駄目なんじゃないかな。それをいかに自分の中でもう一度組み立てるか。盗み見したあとに,「聞いて」,「調べて」,自分のものにすることが大切なんです。

 僕が教えている学生たちに,ときどき「体験」と「経験」の違いを話すことがあります。「体験」は,そのときにただ,やった・触った・知っただけのこと。一方の「経験」は,それを知識として認識して,違うケースで生かせるようにすること。「ゲームでも経験値はあるけど体験値はないだろ? ただの体験は意味がないんだよ。体験から重要なポイントを抽出して経験に変換するんだ*3」なんて。で,僕は学校の先生ですから,もっともらしくさらに続けて,「体験を経験に変換するには知識が必要なんだ,知識がなければ使い捨ての体験にしかならないんだ。もっと勉強しなさい」なんてお説教になっちゃうわけですけどね。

 ちなみに最初のCSMA/CDの疑問ですけど,今は解決してますよ。簡単に言うと,「電気信号は光の速度を超えられないから」です*4


筆者紹介
ネットワークの勉強サイトRoads to Nodeの管理人。Flashで作った動画の技術解説が好評。本職は,技術系専門学校の講師。IT Proでは「シスコ資格:CCNAへの道」と題したCCNA試験対策の記事を連載中(毎週火曜日更新)。網野衛二というペンネームで執筆活動も始めている。