個人情報漏えい事件を斬る
目次
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〔147〕北陸朝日放送の双方向型番組で起きた情報流出の教訓
2008年7月9日,北陸朝日放送は視聴者の個人情報が一部流出したことを発表した。7月5日に放送した番組内で携帯電話を使った視聴者参加クイズを実施したところ,これに参加・登録した視聴者の個人情報が一部流出したというものだ。
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〔146〕廃棄PCの未消去データに潜んでいた情報流出のリスク
2008年6月,リース契約が満了した岩手県生物工学研究所のパソコンの一部が,本体内部に記録された情報が消去されないまま,ネットオークションを介して転売されていたことが発覚した。新聞報道によると,パソコンにはシンポジウム出席者や共同研究者約340人分の個人情報のほか,出願済特許63件など知的財産に関…
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〔145〕消費者庁構想で重要性を増す個人情報管理とICTの役割
今回は,最近話題となっている消費者庁構想など消費者行政一元化の観点から個人情報保護対策について考えてみたい。政府は,各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的に推進する,強い権限を持つ新組織の在り方を検討するために,2008年2月より「消費者行政推進会議」を開催している。
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〔144〕改正割賦販売法で見直されるカード顧客情報の管理基盤
今回は,首相問責決議案が可決された2008年6月11日の参議院で,全会一致・可決成立した改正割賦販売法について,カード情報と個人情報の管理の観点から考えてみたい。改正割賦販売法の特徴は,カード番号等の不正提供・不正取得をした者等を刑事罰の対象とした点だ。
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〔143〕迷惑メール対策で考えるネットマーケティングの共通基盤
迷惑メールを規制する法律としては,迷惑メール対策法以外に特定商取引法があるが,2008年6月11日に改正特定商取引法と改正割賦販売法が参議院で可決成立した。これらの法改正に伴い,受信者の同意を得ない広告・宣伝メールの送信を禁止する「オプトイン」方式への移行が明確になった。
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〔142〕ねじれ国会で全会一致成立した改正迷惑メール防止法の意味
2008年5月30日,「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の改正案が参院本会議において全会一致で可決成立した。今回の改正案は,受信者の同意を得ない広告・宣伝メールの送信を禁止する「オプトイン方式」を原則とするものであり,個人情報保護対策にも直接関わってくる。
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〔141〕メタボ予防対策で考える電子個人健康記録の共通基盤化
4月1日より,医療保険者に対し,メタボリックシンドロームの予防にターゲットを当てた特定健康診査・特定保健指導の事業実施が義務付けられた。健康と医療の分野に関わる健診・保健指導データを個人単位で収集・蓄積させていけば,電子個人健康記録と同じような機能を有することになる。
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〔140〕Google Healthで考える消費者主導のヘルスケアとICT
2008年2月28日,米Googleは一般消費者が健康情報を保存,管理できるオンラインサービス「Google Health」の詳細について発表した。これに先立ち,同社と米国の医療機関Cleveland Clinicは,両者が提携してパイロットプロジェクトの運用を開始したことを発表している。
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〔139〕先端医療施設で起きたブリトニー・スピアーズのカルテ情報流出
2008年3月15日付のロサンゼルスタイムズ紙は,歌手のブリトニー・スピアーズの診療記録を盗み見たとして,カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医療センターが,少なくとも職員13人を解雇し,他の少なくとも6人を停職処分としていることを報じた。
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〔138〕グローバル化する子どもの個人情報保護とICT利活用
インターネット/モバイルが何らかの形で関係した少年非行や少年が被害者となる事例が最近目立っており,中には国境を越えた事件もある。今回は,個人情報保護対策を国際連携の観点から考察してみたい。
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〔137〕「個人情報の保護に関する基本方針」が明文化した過剰反応対策
4月25日,政府は「個人情報の保護に関する基本方針」の一部変更を閣議決定した。特に注目されるのが,「過剰反応」対策の明文化である。この基本方針に法的拘束力はないが,過剰反応で明らかになった「官」と「民」の隙間をどこまで埋められるか注目される。
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〔136〕携帯電話の紛失・盗難対策と業務効率化の両立が課題に
2008年4月8日,テルウェル西日本は,個人情報が入力された社用の携帯電話1台を紛失する事故が発生したことを発表した。個人情報保護法の施行後も,業務用携帯電話/PHSについて見ると,個人情報流出事故が対外公表されるケースは多くない。公表しているのは,個人情報保護への取り組みに積極的な企業ばかりだ。
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〔135〕Yahoo!メール誤配信で考える個人情報と通信の秘密
2008年3月18日,ヤフーは,同社の電子メール・サービス「Yahoo!メール」約5万7000通において,メール・サーバーの不具合により,Yahoo! BBメール・アドレス宛のメールの一部に誤ったヘッダー情報が付加され,配信されていたことを発表した。
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〔134〕下関市立大学の情報流出で浮き彫りになったNECの経営課題
2008年4月4日,下関市立大学は,教務システムに関するデータが格納されたパソコン,USBメモリーなどが盗難に遭い,これらの中に同学の在校生,卒業生,保護者などに関する個人情報が含まれていることが判明したと発表した。
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〔133〕過去の情報漏えい失敗経験を生かせない「官」の現実
2008年3月28日,横浜市病院経営局は,自宅パソコンからファイル交換ソフトを介して患者の個人情報を流出させた職員に対し,地方公務員法に基づく懲戒処分を行ったことを発表した。流出情報には患者の個人情報3733人分が含まれていた。
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〔132〕日米SNSで議論を呼んだプライバシー保護と著作権帰属問題
SNSのようにユーザーが情報発信者となる「Web 2.0」型サービスでは,当事者自身が意識しないまま個人情報が外部へ流出するケースが起こり得る。そのリスクは,子ども,シニア層など,初心者ユーザーの方が高くなる。このため,プライバシーに関する設定画面のインタフェースの使い勝手を継続的に改善していく必…
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〔131〕日本HPの事例に学ぶWebマーケティングの個人情報保護対策
2008年2月29日,日本HPは,同社がホームページ上で実施したキャンペーンおよびセミナー申し込み,アンケート等のために登録されたユーザー情報の一部が,インターネットでアクセス可能な状態にあったことが判明した,と発表した。
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〔130〕子どもの携帯フィルタリングで考える個人情報保護のROI
警察庁生活安全局少年課は2008年2月,「少年非行等の概要(平成19年1月~12月) [H20.2.25 更新]」を発表した。これによると,少年非行は全体的に減少傾向にある。ところがその一方で,直接的・間接的にITが関わるケースはむしろ目立ちつつある。
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〔129〕頻発するパソコン盗難,利便性と漏えいリスクの微妙なバランス
2008年1月28日,近畿大学は,工学部広島キャンパスの講義教室で学生の個人情報を記録したノート・パソコン1台が盗難に遭ったことを発表。続く2月18日には,東京医科歯科大学が患者情報を保存したノート・パソコン2台が盗難に遭ったことを発表した。両大学以外にも,都内の大学を狙ったパソコンの盗難が相次い…
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〔128〕りそな銀行の窓販戦略に見る個人情報保護法と金融商品取引法
2008年2月20日,りそな銀行は近鉄学園前支店で,ATM利用者延べ1万5184人分の名前などが記録されたCD-Rを紛失したことを発表した。大規模な営業店ネットワークを有し,膨大な数の顧客データを抱える事業者にとって,個人情報の紛失防止対策は鬼門である。