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あなたは,ある会社のシステム管理部門に勤めており,社内LANを管理している。現在,クライアントの設定を自動化するため,DHCPの導入を検討中である。以下の条件を満たすような構成をするにはどうすればよいか。適切なものを3つ選びなさい。 ●クライアントのIPアドレスの範囲は,10.1.1.10~10.1.1.99または10.1.1.111~10.1.1.254のいずれか
●サブネット・マスクは255.255.255.0
●静的に割り当てられたサーバーのIPアドレスは10.1.1.100~10.1.1.110


1:10.1.1.10~10.1.1.99を含むスコープを作成する。
2:10.1.1.111~10.1.1.254を含むスコープを作成する。
3:10.1.1.10~10.1.1.254を含むスコープを作成する。
4:10.1.1.100~10.1.1.110をスコープから除外する。
5:スコープのサブネット・マスクを24ビットにする。
6:スコープのサブネット・マスクを28ビットにする。

正しいものを3つ選んでください。
正解:3,4,5

 DHCP(動的ホスト構成プロトコル)は,複数のコンピュータに対してIPアドレスやサブネット・マスクといった各種のTCP/IPパラメータを自動的に設定する仕組みである。


図1●スコープの設定範囲と除外範囲
スコープの設定範囲はサブネット内の1つの連続領域でなければならない。除外範囲は,スコープ内で配布したくないIPアドレス(または範囲)を複数指定できる。
[画像のクリックで拡大表示]

 DHCPは,TCP/IP設定を配布するDHCPサーバーを中心に,以下のような原理で動作している。最初に,クライアントがブロードキャストを送信し,DHCPサーバーを検索する(DHCP Discover)。DHCPサーバーはこの要求にこたえ,クライアントにIPアドレスとサブネット・マスクを提示する(DHCP Offer)。次にクライアントは,提示されたIPアドレスを要求(DHCP Request)し,DHCPサーバーが確認応答(DHCP Acknowledgement)を返せば,TCP/IP設定が確定する。

 DHCPを利用するには,クライアントに割り当てるIPアドレスの範囲をDHCPサーバー上で定義する。これを「スコープ」と呼ぶ。スコープには少なくともIPアドレスの範囲とサブネット・マスクの情報が必要である。

 スコープはサブネット当たり1つしか作成できない。そのため,配布できるIPアドレスの範囲は常にサブネット内の連続領域に限られる(図1[拡大表示])。

 設問のように,「クライアントのIPアドレスが10.1.1.10~10.1.1.99または10.1.1.111~10.1.1.254のいずれか」といった2つの範囲を1つのスコープでは直接指定することはできない。2つの範囲を満たすためには,とりあえず10.1.1.10~10.1.1.254の範囲をスコープとして定義する必要がある。

 しかし,このままでは静的に割り当てられたサーバーのIPアドレスの範囲10.1.1.100~10.1.1.110がスコープに含まれてしまう。DHCPサーバーは,静的に割り当てられたIPアドレスの存在を関知しないので,クライアントにサーバーと同じIPアドレスが割り振られてしまう可能性がある。

 こうした問題に対処できるように,DHCPではスコープに対して「除外範囲」を設定できるようになっている。スコープのうち,クライアントに割り当てては困るアドレスをあらかじめ除外しておく機能である。設問の場合では,サーバーが利用する10.1.1.100~10.1.1.110を除外すればよい。除外範囲はいくつ指定しても構わない。