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表1●富士通ビジネスシステムの中期経営計画
表1●富士通ビジネスシステムの中期経営計画
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表2●各部門の売上計画
表2●各部門の売上計画
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 「踊り場から成長基調への転換」。富士通系有力ディーラーの富士通ビジネスシステム(FJB)の鈴木國明社長は2月22日に発表した中期経営3カ年計画(2006年度~2008年度)の狙いをこう表現した。

 FJBは「この数年、売り上げ、利益とも踊り場。2000年度の赤字から脱却できたものの、売り上げは減る傾向だし、営業利益は30億円前後で停滞している」(鈴木氏)。人員もこの5年間で400人削減し3400人になる中で、上昇カーブにどう乗せるかがFJBの最大の課題だ。なので、中期経営計画の第一歩は「06年度に持続的に成長しうる会社の基盤を作る」(同)ことから取り掛かる。

 実はFJBには2つの顔がある。中堅・中小企業向けの自主ビジネスと、富士通から請け負う大手企業向けビジネスである。後者の大手企業向けは利益率が低いことに加えて、それをサポートするために全国規模で保守サポート拠点を張り巡らせたことが、結果的に停滞の要因の1つになっている。大企業から中小企業まで幅広い活動を展開したことで、経営資源が拡散してしまったわけだ。しかも、数年ごとに親会社の富士通から社長が送り込まれ、その度に新たな計画を打ち出さざるを得ない状況にも課題がある。

 こうした中で昨年6月に社長に就任した鈴木氏は、選択と集中に踏み切ることを決断した。「大手企業向けは個別SIなどをやらないなど、段階を踏みながら縮小させる」(鈴木氏)一方、得意とする中堅・中小企業市場の開拓に力を注ぐ。鈴木氏は「ここが当社の主戦場」と改めて位置付けたわけだ。

 課題の保守の売り上げは、05年度の170億円から08年度は140億円に下がると予想している。保守部隊の一部を売却した同業他社もあるが、FJBは富士通直系保守サービス会社の富士通サポート&サービス(Fsas)と協議しながら拠点の統廃合を進めるとともに、保守要員の配置転換などで30%削減し乗り切る。例えば運用やヘルデスクなどをサポートする要員にするとかだ。

 一方、約4万社のユーザーを抱える中堅・中小企業市場については、その中で成長する業種や地域、企業に営業を重点配置する。付加価値の高い自社ソリューションの開発・販売も強化する。その中核になるのがマイクロソフトの.NET Frameworkをベースにしたコンポーネント型システムWebASシリーズ。販売管理、情報共有、ワークフロー、就業管理で構成させる同シリーズの品揃え拡充のために約30億円を投資し、部品(コンポーネント)を現在の1400本から08年度に3500本に、業種別ソリューションを11から50にそれぞれ増やす。

 その一環から、ソフト会社との協業も推進する。既にフルノテクノワークス(倉庫内物流)やエスパー(不動産管理)、ユーザックシステム(受注システム)、松山電子計算センター(専門店システム)などと提携し、各社のシステムをWebASシリーズに加えることで、WebASの売り上げを05年度の30億円から08年度に一気に100億円を引き上げる。

目標実現にはスピード感が要る

 約750人の営業部隊は東京地区へのシフトを加速させる。東京地区の人員構成比は03年度の41%(売り上げは55%)から08年度に50%(同60%)とする。地域も都市圏に集中させる。同時に、IT投資効果を提案できる人材を現在の180人から08年度までに450人に増やし、コンサルティング型提案ビジネスを拡大させる。「上流工程から手掛けることで競合他社を排除できる」(鈴木氏)からだ。こうした施策で中堅・中小企業向け売り上げを05年度の490億円から08年度に600億円と年率平均7%で伸ばす。

 医療機関と地方自治体向けビジネスの2つも重点項目に加えた。自治体向けは住民30万人未満の市町村をターゲットする。ただし、庁内事務や職員ポータル、図書館システムなど基幹系の周辺に特化させる。医療向けも300床未満の中小規模病院を狙う。

 このような事業展開を推し進める一方で、ソフト・サービスから収益を得る構造に転換させる。売上総粗利益率を改善するためだ。粗利益率は00年度の11.9%から05年度に18%と上昇し、総粗利益の50%を超える。08年度には70%をソフト・サービスで稼ぎ出す計画。売り上げ比率も00年度の22%から05年度に46%に達する勢い。

 中期経営計画の最終年度となる08年度に売上高1870億円(05年度は1690億円)、営業利益56億円(同36億円)を達成させる。だが、営業利益率は現状の1ポイント改善にとどまる3%と極めて低い。業界最大手の大塚商会はすでに5%を超えているし、株式の52%を保有する富士通も年間1%ずつの改善を期待しているという。鈴木社長も「5%にしたい」と語るだけに、今回打ち出した施策をスピード感持って実行することが上昇カーブに乗せるカギを握るだろう。

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