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図4 IPマルチキャストを使った放送タイプのコンテンツ配信のしくみ<BR>IPマルチキャストを使うと,コンテンツ配信サーバーが送り出したIPパケットを途中のルーターが必要な数だけコピーして中継してくれる。
図4 IPマルチキャストを使った放送タイプのコンテンツ配信のしくみ<BR>IPマルチキャストを使うと,コンテンツ配信サーバーが送り出したIPパケットを途中のルーターが必要な数だけコピーして中継してくれる。
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VODは1対1,放送型は1対多で通信

 では,テレビ向けサービスにはVODと放送型両方のコンテンツがあるのに,パソコン向けはVODが中心なのも,ネットワークの違いによるのだろうか。

 このような疑問をぶつけると,ビー・ビー・ケーブル事業推進統括部アライアンス推進部部長代行の石原篤(いしはらあつし)さんが,「テレビ向けの放送型サービスで使っているIPマルチキャストという技術は,自社の網内でしか使えないんです」と説明してくれた。

 VODの場合,テレビ向けであろうとパソコン向けであろうと配信のしくみは基本的に同じだ。ユーザーがテレビやパソコンの画面に表示されたリストから見たいコンテンツを選ぶと,パソコンやSTBが配信事業者のVODコンテンツ配信サーバーにリクエストを送る。VODコンテンツ配信サーバーはそれに応答する形で,パソコンやSTBにコンテンツを流す。通信は常に1対1だ。

 これに対し,テレビ向けの放送型サービスでは,IPマルチキャストを使う。IPマルチキャストとは複数のあて先に同じデータを一斉送信する技術。送信側が専用の「マルチキャスト・アドレス*」をあて先アドレスに指定してデータを流すと,途中のルーターでコピーされて複数のユーザーに届く。放送のような1対多の通信が効率的に実現できる。

STBがIPマルチキャストを処理

 IPマルチキャストで放送型のコンテンツを配信する流れを詳しく見ていこう(図4[拡大表示])。配信事業者のエンコード・サーバーは,コンテンツ提供事業者から動画が届くと,それをMPEG-2などのデータにエンコード*して,コンテンツ配信サーバーに送る(図4の1)。コンテンツ配信サーバーは,受け取ったデータをIPパケットに詰め,あらかじめ決めてあるマルチキャスト・アドレスをあて先に指定して,IPマルチキャスト対応ルーターに送り出す(同2)。パケットを受け取ったルーターは,これを必要な数だけコピーして配下のルーターに中継する(同3)。こうして,収容局まではIPマルチキャストで全チャンネルのパケットが届く。

 ここで,ユーザーが見たいチャンネルを選ぶと(同4),STBはそのチャンネルに対応するマルチキャスト・アドレスを参照し(同5),収容局のルーターにそのアドレスあてのデータを送るように要求する(同6)。収容局のルーターは該当するアドレスあてのIPパケットだけをSTBあてに送信(同7)。STBがIPパケットから取り出したデータをデコードし,テレビに映像信号として送る(同8)。

パソコン向けの放送型は1件ずつ配信

 IPマルチキャストを実現するには,IPマルチキャスト対応ルーターでネットワークを構築するほかに,マルチキャスト・アドレスを管理しなければならない。そのため,現状では通信事業者やプロバイダの網内の利用に限られる。パソコン向けのようなプロバイダをまたぐサービスではまだ使えない*