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Q:当社は従業員300人,小さいながらも海外に生産工場を持つ化学メーカーです。今後,当社でも情報化投資を積極的に展開し,業務改革,業績の向上を図ろうと考えています。その際,重要になるのがCIO(最高情報責任者)の存在だと聞きました。私もその必要性を感じ,今回,抜本的に行う情報化プロジェクトにCIOを置こうと思っています。CIOに求められる資質とは何でしょうか?


A:CIOとは企業内の情報システムや情報の流れを統括する経営幹部のことです。ビジネスに対する幅広いマネジメント知識とITに対する深い知識を兼ね備えた人材であることが重要です。



 CIOに求められる資質の第一は,全体最適の視点を持っていることです。ある業務システムを刷新するという案件があったとします。多くの場合,その業務に関係のある部門にとって便利なシステムを導入する傾向がありますが,それは必ずしも全社にとって最適ではありません。つまりCIOは情報システム構築の際に陥りやすい「部分最適」ではなく「全体最適」が実現するよう,IT戦略を企画・推進しなければならないのです。そのためには,社内の情報の流れを熟知しておかなければなりません。

 次に経営や数字に強いことです。IT投資で重要になるのが,どれだけ売上や利益のアップ,あるいはコスト削減に貢献したかを定量的に提示する仕組みを整えることです。現在,これらを測定する仕組みとして,BSC(バランス・スコアカード)やKPI(重要業績指標)の活用が進んでいます。

 第三に必要なのがITの知識です。この件に関しては「専門家ほどの知識はいらない」とする考え方もありますが,今やITはビジネスとは非常に密着した存在です。例えばあるシステムを構築する際,新技術を使えば大幅なコストダウンが図れることもあるでしょう。

 しかしCIO自身にそのような知識がなければ,新技術の採用は見送られるかもしれません。また最近,頻発しているシステム統合のトラブルなども,深い知識があれば,防げることもあります。そのほか,システム構築に関するプロジェクトを動かした経験やセキュリティ対策に対する深い認識なども必要です。