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その自信の裏付けの1つは、“ストレート戦法”にある。商談相手のシステム検討が、具体的に今どの段階にあるのか、予算はいくらなのか、いつ導入しようとしているのか、本当に購入する気があるのかないのか、商談の早い段階ではっきりと聞く。見込みのない商談と分かれば、手を引くこともいとわない。「緊張するのか、商談相手の肩書きに遠慮するのか、本当に聞きたいことを、聞けない営業マンが意外に多い」と、上島は指摘する。
初めての企業を訪問するときは、ツテを駆使して、その会社の人間関係まであらかじめ探っておく。担当者に会ったらまず、その人物の所属する部門でのポジションや、部門全体の勢力図を素早く把握するように努め、決裁権を持つキーマンを特定する。「どんなに熱心に売り込んでも、キーマンに訴求しなければ全く意味がない」ことを熟知しているからだ。
商談相手の人物把握を最重要視するのは、社会人になって最初に入った会社で、人事部門を経験したことが大きく影響している。「会社は人事で回っていることを痛感した」のだ。採用面接も担当し、1カ月ほどの間に200~300人の学生に会った。人を見る目は、その当時に磨かれたものだ。営業という仕事でも「人事担当者のような気持ちで、相手の心理分析をしながら話をする」という。
そんな上島の鞄には、パソコン用のマイクが常備してある。米国本社に常駐する上司と連絡を取り合うための、IP電話用のマイクだ。毎日営業で飛び回る上島は、急用があれば、インターネットカフェに飛び込む。そこで、声をひそめて話すのだそうだ。
上島 千鶴(かみじま ちづる)氏 |