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 日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(パソ協)が、4月にも名称をコンピュータソフトウェア協会に変更する。“パーソナル”を取った最大の狙いは国際競争力のあるソフト会社の育成だ。ハード中心の電子情報技術産業協会(JEITA)、システムインテグレーションなどの情報サービス産業協会(JISA)に対し、今後のパソ協は業務パッケージや基盤系ソフトなどプロダクトに焦点を当てる。


 パソ協の会長を務める浅田隆治ウッドランド会長によると、マイクロソフトなど欧米系ソフト会社の台頭が背景にあるという。国内のソフト会社の多くは、開発ツールや画像処理、検索エンジンといった基盤系ソフトの開発意欲をなくしたからだ。大手に対抗する商品を開発しても商売にならないという意識が働き、技術力で勝負するソフト会社が減った。そこに浅田会長は危機感を募らせる。ソフト会社が商品開発力や技術力を失うことは、日本の企業が国際競争力を失うといった問題に発展する可能性もあるからだ。


 「特に基盤系ソフトは1つの技術にこだわって、開発に時間をかけないと花は開かない。このため大手よりも、特定の技術に人材を集中的に投入できる中小ソフト会社に向いている。そこで中小ソフト会社が生きていけるような産業構造を作り出す必要がある」と語る浅田会長は、環境作りに向けた支援策を練る。


 既にパソ協は昨年から、中小ソフト会社が技術力を磨きながら商品開発に取り組めるよう支援する方法の検討を開始した。約20年前に設立したパソ協の会員は約500社で、その7割が年商5億円未満、従業員50人未満という中小企業が占める。かつてこのメンバーから独自ソフトを開発し、パソコンソフト市場で一世を風靡した会社もあった。例えば日本語ワープロソフト「一太郎」を開発したジャストシステムだ。だが、最近は目立った企業が出てこない。このままではパソ協の地盤沈下にもつながることからも、“パーソナル”という名称を外し、範囲を広げることにしたという。


 プロダクト全体をカバーするには、賛助会員という位置付けの大手ITベンダーなどを取り込む必要もあるだろう。これが実現できれば、プロダクトの国内生産高や輸出入の実態の把握にもつながる。


 ソフト会社の創業には色々なパターンがある。例えば、大手ITベンダーに在籍した数人の技術者らがスピンアウトし、自分たちの資金などで数千万円を集めて、技術力を生かした商品作りをスタートさせる。ところが、3年から5年の間に1つでも失敗すれば資金を使い果たし、事業は立ち消えになる。外注を含めて30人から50人の社員数で年商5億円程度まで成長できても次の段階に進めない。人材と資金という課題を抱えたままでは独自商品の開発を持続できないし、企業規模から大規模案件の受注が難しいからだ。


 解決策の1つが融資制度で、日本政策投資銀行や信用保証協会の融資などがある。中小企業庁も近く融資制度を発表するが、これらはいずれもソフト産業だけを対象にしたものではない。そこでパソ協は2005年10月に、中小ソフト会社を対象に無担保、低利率で融資する「ガンバレIT融資制度」を設けた。


 だが、浅田会長は満足していない。商品開発に意欲を持つ経営者や下請けからの脱却を考えている経営者には、融資に加えて投資も必要と考えているからだ。


 例えば持ち株会社に投資するという案も出ているという。基盤系ソフトの開発会社、その関連ソフトの開発会社、ソフトの販売会社、業種別に事業展開する複数のソフト会社で構成する持ち株会社に、金融機関やソフト会社などが共同出資したファンド(基金)が投資する形態だ。基盤系ソフトの開発に専念できる体制にするうえで、持ち株会社は有効な方法の1つでもあるし、年商10億円以上への近道にもなる。「ソフトはテクノロジー産業なのだから、本来は国家事業として取り組むべき」と語る浅田会長は、政府をはじめとする関係組織にも中小ソフト会社の支援を訴えている。