
「アプリケーション連携」とは、会社で使用されているソフトウエアとIP電話を連動させて、業務の効率や利便性を高めることを言います。具体的には取引先の住所録や、社内住所録などの電話番号をクリックすると電話を掛け始める、クリック・トゥ・コール(クリックダイヤル機能ともいいます。以降C2Cと表現)などがあります。
応用豊富なC2C
携帯電話の電話帳のイメージを思い浮かべてもらうとC2Cを理解しやすいと思います。IP電話の場合はWebブラウザで企業内の電話帳を閲覧して,それと電話機を連動させます。C2Cの応用としてグループウエアに組み込むものが開発されています。グループウエアの住所録から内線、取引先に電話できるようになります。
表計算ソフトのExcelとソフトフォンを連動させてC2Cするものや,名刺スキャナ・ソフトとソフトフォンで名刺に記載してある電話番号を認識してC2Cするものなども作られています。このようにC2C機能だけでもアイデア次第で色々な応用ができます。
IP電話によってはプレゼンス情報が分かるものがあります、プレゼンス情報とは電話を掛ける相手の状態です。例えば、相手のプレゼンス情報が会議中だったらメールやボイスメールに用件を入れたり、出張中や外出の場合は携帯電話にかけるといった選択ができます。このように相手の状態が判断できれば効率のいい、確実なコミュニケーションができるようになります。
プレゼンス情報を生かせば、自動的に相手の状態に合った転送先に電話をかけられます。電話をかける人が、相手の状態を確認しなくても相手のプレゼンス情報に合った転送ルールに従い、IP電話や、ボイスメール(留守録)、携帯電話、出張先、ホテル、自宅などへの転送が可能となります。
しかしプレゼンス情報は必要な情報を入力しないと効果がありません、そこで最近考えられているのが、グループウエアのスケジュール機能との連動です。入力されたスケジュールの状態を見て、転送先を決めます。
顧客サービスに使われるCTI
以前から電話の世界ではCTI(Computer Telephony Integration)という名称で電話とアプリケーションの連動が行われてきました。例えば、電話やFAXなどの情報をコンピュータと連動させます。
特にサポート・センターなどで顧客情報との連動が使用されています。電話システムから電話番号情報が渡されると、コンピュータは顧客情報をポップアップで表示します。顧客のプロフィールや問い合わせ履歴がすぐに分かることを顧客サービスに活用しています。
以前にも書いたことがありますが、顧客のサポートをする場合、顧客の声の色(怒ってるか、笑っているか、喜んでいるかなど)の判断が大事だと聞いています。性別、年齢、通話履歴を吟味することにより、電話してきた顧客に対して気持ちのいいサービスができるそうです。
API公開が重要
今後注目されるであろうアプリケーション連動のキーポイントとして以下の機能があります。
(1)電話をブリッジする機能(公私区分に利用)
(2)電話の信号だけではなく、スイッチのON/OFF信号を送信する機能
(3)音声品質向上により、音声識別装置や音声自動応答(IVR)、音楽配信の可能性
(4)RFIDなどの外部デバイスとの連動(勤怠、入出管理)
(5)映像との連動(会議システム、セキュリティシステムとの連動)
IP電話とアプリケーション連動を推進させるためにはIP電話サーバーがAPI(Application Programming Interface)を公開する必要があります。それが十分でないと結局、1企業内で考えられるIP電話とアプリケーション連動の発想は非常に狭いものになります。電話のシステムと、企業内で使用されているアプリケーションとの間を取り持ってくれるインタフェースを充実させる事により、メーカーで考える利用以上の連動が可能と考えます。
筆者の会社でもその発想の元、TalkAgent(トークエイジェント)という名の、API群を準備しています。TAPI(Telephony Application Program Interface)と言うAPI群がWindowsのCTIで使われていますが、APIの機能をいかに充実させるかが、コンピュータとアプリケーションの距離を縮めると思います。
TAPIはモデムの機能を意識して作られたものです、今からのAPIはIP電話を意識したものになり、よりアプリケーションとの連動の良さが期待されます。今後出てくるアプリケーションのソフトには「電話もできる」と言う注釈が小さく付くことでしょう、そんなのは当たり前の世界となりそうです。
|