以下に,各製品種別における機能の違いを一覧比較する。表中では,Windows Starter 2007は「Str」,Windows Vista Home Basicは「H B」,Windows Vista Home Premiumは「H P」,Windows Vista Businessは「Bus」,Windows Vista Enterpriseは「Ent」,Windows Vista Ultimateは「Ult」と略している。
表1:基本的な機能
表2:生産性に関する機能
注1:1024×768まで対応
表3:通信機能
表4:デジタル・メディア,エンターテインメント機能
表5:ネットワーク機能
注2:Quattro Home Serverのドメインにのみ参加可能
表6:ノート・パソコン用機能
表7:管理機能
表8:ハードウエアのサポート
注3:搭載する物理メモリーの容量分だけ可能(上限は不明)
Windows Vistaの販売戦略
Microsoftの内部文書によれば,Windows Vistaにおける製品種別の多様化の目的は,すべてのカスタマー・セグメントに対する「明確な価値の提示」を行うことと,Media CenterやTablet PCの機能などWindows XP時代の革新的な技術をメイン・ストリームに取り込むことである。Windows Vistaはまた,x64プラットフォームへの移行のための製品としても位置付けられている。Microsoft はほとんどすべてのWindows Vistaについて,x86(32ビット)およびx64(64ビット)バージョンを提供しており,Windows Vistaのリリース後は,クライアント製品ラインのx64バージョンへの完全な移行を目論んでいる。
ここで気になるのは,MicrosoftがWindowsの製品ラインをどこまで拡大するつもりなのかということだろう。Officeファミリ製品には様々なエディションが用意されているが,これは一般消費者および企業を混乱に陥れる原因となっており,決してよい販売政策とは言えない。Windows Vistaのコンポーネント化が,企業とそのパートナであるPCメーカーが様々な製品バージョンを即座に作ることを容易にするためのものだとしたら,このような状況は歓迎されない。
Windows Vistaのバージョンが多数存在することは消費者により大きな混乱をもたらす。またその中にある「隙間市場向け」のバージョンは,その事実が明らかになった時点で顧みられなくなるだろう。そしてアップグレードのときには製品バージョン間の移行に関する混乱が待ち受けている。