■Windows Server 2003 R2で追加されたフォルダ単位のクォータ管理機能などは,これまでサード・パーティ製品を購入しなければ利用できなかった機能である。これら新しいOS標準機能は,既存のサード・パーティ製品とを比較して十分な機能を持つことが分かった。
特定のファイル形式の保存を禁止
Windows Server 2003 R2には,クォータ管理機能と併用すると便利な機能も追加された。ファイルの種類によって共有フォルダへの保存を禁止するスクリーン機能である。設定手順を見ていこう(図11)。
図11●ファイル・スクリーンを設定する流れ |
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スクリーンの設定は,クォータ管理と同様に[ファイルサーバーリソースマネージャ]の配下で行う。この項目を右クリックして,[ファイルスクリーンの作成]を選択すると設定画面が開く。クォータ管理と同様に設定する共有フォルダを入力し,保存を禁止するファイルの種類を指定する。ここでもクォータ管理と同様に,設定内容のテンプレートを使える。カスタマイズして,保存を禁止したい拡張子を設定すると,独自のテンプレートを作成できる。
ファイル・スクリーン機能で注意したいのは,保存禁止の判断が拡張子でなされていることだ。試しに,wmaやmp3などの拡張子がデフォルトで禁止対象になっている[オーディオとビデオのファイルのブロック]を共有フォルダに設定しておき,拡張子を削除したwmpファイルをコピーしたところ,共有フォルダに保存できてしまった。
基本機能は他社製品と同等
R2に搭載された共有フォルダの管理機能は,サード・パーティ製のソフトと比較すると,どの程度なのだろうか。
クォータ管理の代表的な製品としては,日立ソフトウェアエンジニアリングが販売する「Quota Server」,シマンテックが販売する「Storage Exec」などがある(表3)。これらの製品では,ファイル・サーバーのほかにExchangeサーバーのメールボックス単位でクォータを管理したり,新規作成されたフォルダを自動検知してクォータの設定を自動適用したりする機能がある。OSは,Windows 2000 Serverにも対応している。
表3●主なクォータ管理ソフト R2に搭載されているクォータ管理機能は,実用上十分な機能を備えている。
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しかし,R2のクォータ管理とスクリーン機能は,ファイル・サーバーにしか設定できない。また,R2はWindows Server 2003 SP1をベースにしているため,Windows 2000 Serverでは利用できない。
R2には,設定の自動適用機能はないが,あらかじめ共有フォルダ全体にクォータやスクリーンを設定しおけば,その配下に新規作成された共有フォルダには設定が有効になる,といった使い方ができる。
このように,R2に搭載された共有フォルダの管理機能は,サード・パーティ製品には及ばないものの,基本的な機能は十分である。R2さえあれば,追加コストなしでこうした機能が利用できるのは,大きな魅力といえるだろう。