上山信一の「続・自治体改革の突破口」
目次
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第205回 MaaSとSaaSは都市をどう変えるか ――CaaS(シティ・アズ・ア・サービス)の時代
昨今MaaS、そしてSaaSが話題だ。MaaSは利用者あるいはモノを電車、バス、マイカー、自転車などの交通モードを最適な形で組み合わせ、極力早く、安く、快適に移動する手段を提供する。例えばオーストリアのウィーンには「年間365ユーロで市内交通は何でも乗り放題」というサービスがある。
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第204回 自動運転は地域を変えるか?――今から考えておくべき2つのこと
各地で自動車の自動運転の実証実験が始まっている。また自動車産業の周辺では「2025年までにはロボタクシーが走る」「トラックが深夜の高速道路を自動で走る」といった未来予測が盛んだ。自動運転の技術の進歩は著しく、ほぼ完成している。あとは路上での安全性の検証、法規制の整備、そして経済性の見通しが立つのを…
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第203回 データがもたらす“事前行政”の時代――ジャンプスタートからヘッドスタートへの領域拡張
現代は「石油からデータへ」という文明の大転換期だといわれる。企業経営はいわゆるデジタルトランスフォーメーションで激変が予想されるが、政府の役割はどうなるのか。今回はデータの時代の政府と社会の関係について考えてみたい。
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第202回 若くして政治家をやめた人の活躍の場づくりを――実は政治の質を上げる近道
政治家とは「辞めてしまえばただの人」、引退したら一般人である。昔は知事や市長も天下りをした。公立大学の理事長や美術館長、あるいは各種協会の長といった名誉職である。長老議員にも一部天下りがあった。だが最近は天下りはまれだ。若くして公務を終えた政治家たち(特に35歳から50歳くらい)を社会はどう受け入…
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第201回 都市の「ビジネスモデル」を再構築――大阪・橋下改革の10年を総括する(3)
前2回は、最近の大阪の社会・経済指標の回復が著しいこと、背景に地方政党「大阪維新の会」の存在があること、そして大阪府と大阪市の二重行政が都市の衰退の元凶であることを述べた。今回は視点を変え、最近の改革の動きが実は人工的な新興都市のDNAに由来する本能的な動きであることを見ていきたい。
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第200回 どんな仕組みで大規模な改革が続けられるのか――大阪・橋下改革の10年を総括する(2)
前回は過去10年強の改革で大阪の社会と経済の各種指標が大幅に改善したこと、そして背景には2008年以来の大阪府・大阪市の「維新改革」があると指摘した。今回は大規模かつ徹底した改革を10年以上も持続できるメカニズムを考える。
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第199回 どうやって大阪は悪循環を脱したのか――大阪・橋下改革の10年を総括する(1)
わが国で調子がいいのは福岡、京都である。だが最も注目すべきは大阪である。各種指標が軒並み底入れし、好転しつつある。背景に何があるのか。好景気やインバウンドの復活にも助けられたが、官民を挙げての大阪自身の努力の成果が大きい。今回から5回にわたり、都市「大阪」の再生の軌跡を見ていきたい。
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第198回 「たかが書式、されど書式」:書式から変える現場改革――保育園の事例を手掛かりに
「人手不足」「働き方改革」「ワークライフバランス」が注目を集め、公務の世界でも現場主導の改革が盛んになってきた。現場の職員が自ら無駄な仕事を見直し、手続きを簡素化し、なるべくIT化していく動きである。ところが、こうした動きから取り残されがちなのが現場の各施設、特に保育園、介護施設、保健所など専門職…
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第197回 第3段階に入った公共インフラの民営化(下の2)――上下水道の民営化を進める近道とは まずは評価と情報公開から
前回は、今後の公的インフラの民営化の中心はおそらく上下水道になるが、実現に向けては、個々の地域事情、そして首長と議会の二元代表制の政治状況によっては一筋縄ではいかないといった事情を解説した。今回はその上で、現実に各自治体がどうすれば民営化を進められるのか、具体策を提案したい。
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第196回 第3段階に入った公共インフラの民営化(下の1)――今後の公共インフラの民営化は自治体の上下水道が主役に
前回と前々回は公共インフラを民営化するメリットや日本での普及の歴史を紹介した。今回は今後の展開を考えたい。
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第195回 第3段階に入った公共インフラの民営化(中)――政府、受託企業、投資家のWin-Win-Win関係
前回は、公共インフラの民営化が日本で本格化しつつあることと、その背景を解説した。今回はより具体的に、インフラを所有する政府、運営を受託する企業、そして投資家(コンセッションの場合)の3者にとって、民営化がどういうメリットをもたらすのか考えたい。
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第194回 第3段階に入った公共インフラの民営化(上)――これまでの総括と今後の展望
ここ数年、空港の民営化の話題が続く。関西空港に始まり、仙台、福岡、そして北海道、熊本、高松、南紀白浜など全国で18カ所がすでに民営化され、あるいは計画中である。空港だけではない。道路、図書館、アリーナ、美術館など、この20年ほどの間に公共インフラの民間委託や民営化がかなり進んだ。
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第193回 思い切って水の流し方を変えよう――水道事業の危機を直視する
7月4日に水道法改正案が衆議院の厚生労働委員会で可決された。改正案の趣旨は、現在、市町村ごとに運営する事業を広域化して効率化すること、そして都道府県がその推進役を担うという内容だ。
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第192回 小池都政をどう見るか(その4)――都政改革の今後に向けて
前回に引き続き、私が2018年3月末まで務めた都政改革本部特別顧問として手掛けたことを総括したい。前回同様に、客観性を確保するため、知人との問答を要約した形でまとめた。
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第191回 小池都政をどう見るか(その3)――特別顧問の役割を総括する
前2回では小池氏の東京都知事就任後の改革の全体像を紹介した。今回は、今年3月末の任期満了までの2年弱に渡って務めさせていただいた特別顧問として手掛けてきたことを総括したい。
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第190回 小池都政をどう見るか(その2)――情報公開と内部統制を重視
小池改革の原点には「五輪予算見直し」「豊洲市場への移転再検討」「議会改革」の3つの公約があり、都議選に向けた政治的パワーの盛り上がりとともに一気呵成で3つとも達成できたと説明した。今回はその他の改革について見ていこう。
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第189回 実は国による都の税金収奪――特別地方税問題を考える
消費税8%のうち6.3%は国へ、1.7%は地方に配分される。だが、その際に都会には少なめに、地方には多めに配分される。この比率が今般、さらに地方に手厚く変えられることになった。その決定を巡って東京都や大阪府は国に抗議をしている。何が起きているのか。
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第188回 これからの自治体と外郭団体
固定観念を捨てるべき時期
この約1年半、筆者は東京都の特別顧問として各局や外郭団体のヒアリングを重ねてきた。その上でしみじみ思うことは、外郭団体の位置づけの変化である。都庁に限らず、自治体は従来の外郭団体に関する固定観念を捨てるべき時期にあると思う。
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第187回 小池都政をどう見るか(その1)
負の遺産処理から巡航モードへ
小池都政が誕生し、1年半がたった。各種報道は、2017年10月の衆院選を境に批判的内容が目立つ。しかし、都庁の現場の変化や政策の中身を吟味せずに書かれた印象論が多い。本来は、知事として組織と予算を動かした業績を評価すべきだ。
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第186回 これからの都市と公共交通の姿
高齢化と税収減の時代に向けて
先週、中国の広州と昆明を旅した。驚いたのは、個人所有の自転車がほとんどなくなり、街中にシェアバイクが走っていたことだ。自動車のライドシェア(相乗り)も進む。IT、省エネ、排ガス規制に向けた政府の意思の強さを感じた。