上山信一の「続・自治体改革の突破口」
目次
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第45回 岐路に立つ行政と公務員の品質管理――専門性のフィクションを超えて
行政機関、あるいは公務員の品質への信頼が揺らいでいる。自治体が耐震偽装問題を見抜けなかった事例は氷山の一角に過ぎない。筆者は全国各地でさまざまな職種の公務員に接触する。制度の成り立ちや根拠など基本的な質問に答えられない職員が増えている。専門官や企画官の肩書きを持つのに知識のない幹部もいる。政府の大…
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第44回 道州制と北海道の可能性--三つの可能性と三つの提言
今回は者も参加したシンポジウム「美しい国をつくる―森の国・北海州自立への挑戦」(6月12日開催)での議論をもとに、北海道の地域経営について考えてみた。北海道の三つの可能性(自然、人材、ブランド)と、三つの助言(富裕層向けB2C、外部人材活用、他地域との連携)を指摘してみたい。
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第43回 行政機関によるチャリティ・オークションの勧め
欧米ではチャリティ・オークションをよく行う。日本ではまだまだ珍しいが、今後のやり方次第では莫大な可能性が広がるだろう。チャリティ・オークションはNPOへの寄付促進、若手の芸術家の育成・支援のほか企業にとっても広報宣伝の場として有効だ。日本の場合、公的機関が持つ歴史的建造物や神社仏閣を使って、企業・経…
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第42回 大阪市役所の挑戦(第5回)--夢と愛と対話の必要性
大阪市役所の抜本改革が本格化し、ほぼ1年が経つ。4、5月には改革本部を中心に成果の棚卸と課題の整理が行われた。今回はその概要を報告したい。上から危機感を煽るだけでは人の行動は変わらない。いろいろな議論を経て、「今後の改革には“夢”と“愛”と“対話”が必要」という結論が出た。
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第41回 商店街再生の鍵を探る──“改革屋”の視点から
全国各地で商店会再生に取り組む事例が増えている。共通するのは「何もせずにお客が来る時代は終わった」という時代認識と危機感だ。いずれも「とにかく何でもいいから、まず人に来てもらう」という原則を徹底している。
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第40回 あえて今、郵政民営化を考える--“郵便局”の価値発掘が唯一の活路
郵政公社の民営化が決まった。筆者は昔からの民営化論者だ。しかし政府が目指すNTT,JR型の民営化手法には賛同しない。確かに郵政事業は国営では立ち行かない。今の公社で残すのも時代遅れだ。だが既存事業を「民間企業化」し、さらに「上場して儲ける」というのは政治的プロパガンダとしては分わかるがビジネスの発…
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第39回 高齢化社会とペット行政--愛犬家からの問題提起
春だ。愛犬を連れて公園を散策する人が目に付く。今後、少子高齢化が進むとペットを飼う人はもっと増える。アニマルセラピーという言葉も普及した。ペットに癒され、あるいはペットの世話を通じて生きる力を養う人たちが増えている。だが、新たな課題も発生する。捨てられたペットの扱い、高齢化するペットの介護・医療問…
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第38回 大阪市役所の挑戦(4)--「事業分析」の威力
大阪市役所の改革本部では、昨年4月から9月末までの6カ月間で「地域」「市役所」「事業」の3つの観点から大阪市を丸ごと解析、いわば「人間ドック」のような作業を行った。今回は概要を紹介する。
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第37回 大阪市役所の挑戦(3)--1年の改革の軌跡を振り返って
筆者が大阪市役所の改革に関わり始めたのは昨年2月だ。それからほぼ1年、毎週1~2日間大阪市役所に通い、改革を支援してきた。市長・助役と相談しつつ改革本部を根城に総力戦を展開する。情報公開を巡っての攻防戦など息つく間もなかった。だがようやく峠を越えた。この連載では向こう3回にわたり、この1年の大阪市役…