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図1 ICタグの周波数帯別の特徴比較。

 2006年になって、無線ICタグシステムの実用化を目指す動きが、昨年以上に活発になっている。その中でも最大の注目点は、4月以降に製品化が相次ぐUHF帯対応ICタグシステムである。今年2月2日に開催された「NET&COM 2006」のトレンドセッション「UHF帯無線ICタグ──本格導入の第2ステージへ」(主催:日経RFIDテクノロジ)における電子情報技術産業協会(JEITA)AIDC/WG4委員会委員長である渡辺淳氏(デンソーウェーブ開発部主幹)の講演から、UHF帯ICタグの強みと弱み、日本における制度整備の現状、ISO(国際標準化機構)における標準化動向について、3回にわたって報告する。 

水や金属に強い135kHz帯、バランスが良い13.56MHz帯

 まずは、UHF帯ICタグの強みと弱みを、渡辺氏が作成した周波数別の特性比較図(図1)を基に見てみよう。

 長波帯(135kHz帯)対応のICタグは、水や金属の影響を受けにくい特徴がある。また、ICタグのサイズを小さくできるが、ワンチップ化されていないという点から、厚さを薄くできない問題がある。通信距離もせいぜい、20~30cmである。さらに周波数が低いために、外部ノイズの影響を非常に受けやすい。

 HF帯(13.56MHz帯)のICタグは、通信距離を除いて非常にバランスが良いのが特徴である。ワンチップ化が可能といったであるためICタグのサイズを薄く小さくできる。水や金属の影響もあまり受けない。比較的使いやすいICタグといえる。

 マイクロ波帯(2.45GHz帯)のICタグはサイズを非常に小さく薄くできるが、水や金属の影響を受けやすい。通信距離は1~2mぐらいである。高周波を使うため、設計が少し難しい点もある。

通信距離は長いが万能ではないUHF帯

 こうした既存のICタグに対してUHF帯ICタグは、通信距離が長いのが最大の特徴である。水や金属の影響はマイクロ波帯のICタグよりは受けにくいが、長波帯やHF帯のICタグに比べると影響を受けやすい。ICタグのサイズに関しても、同じ性能を出そうとすると、マイクロ波帯のICタグよりも3倍ぐらい長くなる。

 このようにICタグは、周波数によって強みと弱みがある。そのため、アプリケーションにあった周波数の選択が非常に重要になる。渡辺氏も今回の講演で、「現在UHF帯ICタグが非常に騒がれているが、万能ではない。そのため悪い面は別の周波数帯のICタグで補うことが大事になってくる」と強調した(次回は4月18日付の本欄で掲載)。