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 USENの宇野康秀社長が,個人でライブドアに95億円を出資するというニュースが3月に流れてから,宇野氏は一躍時の人となった。この宇野氏について,みなさんはどんなイメージをお持ちだろうか。“イケメン社長”とか“ヒルズ族のアニキ”などと呼ばれ,派手なカリスマ社長という印象が強いかも知れない。しかし,実際に宇野氏に会ってみると,印象はかなり違う。

 日経コミュニケーションの記者だった私が,初めて宇野氏にインタビューしたのは2000年8月。このとき,私は「不思議な社長だな」と感じた。不思議と思った理由は,想像していた姿とのギャップが大きかったからだ。

 宇野氏は当時,NTTに先駆けて格安の光ファイバー・サービスを始めようとしていた。ユーザーにとっては大歓迎だが,光ファイバー・サービスは莫大な投資を必要とする事業。敷設工事や機器の設置に,数百億円~数千億円以上の投資がかかるわりに,投資を回収には何年もの時間がかかる。こんな大勝負に出る宇野社長は,きっと思い切りがよく,活力みなぎるギラギラした人なんだろうと勝手に想像していた。ADSLサービスで新規参入したソフトバンクの孫正義社長や,イー・アクセスの千本倖生社長に近いイメージだ。

 ところが会ってみると,宇野氏は想像とは正反対。穏やかで発言は常識的だし,こちらの質問に時折考え込んでから丁寧に回答する。どんなときでも,決して他社の悪口を言わない。まじめそうな社長という印象だ。この穏やかな宇野氏が,どうやって父の会社を大改革できたのか,大手通信会社もちゅうちょする光ファイバー事業に乗り出せたのかが,わからなかった。その後,光ファイバー事業はマンション向けを中心に実績を上げて単月黒字化し,ブロードバンド放送「GyaO」の躍進など次々と成功していった。その時々で何度も取材したが,宇野氏の成功の理由がつかめない。でも,何か秘密があるんじゃないかとずっと気になっていた。

 最近になって,ようやく私にも宇野社長の成功の理由がわかってきた。4月24日に発行する単行本『宇野社長の挑戦! カリスマはいらない。』に向けて,著者であるジャーナリストの和田勉さんと共に宇野氏やUSENの役員など,関係者への取材を重ねたからだ。仕事の進め方や考え方を何度も取材するうちに,謎が解けてきた。


4月24日に発行される『USEN宇野康秀の挑戦! カリスマはいらない。

 本の中で和田さんが書かれているが,宇野社長が勝ち残った理由は,ワンマン経営者でもカリスマでもないところだ。宇野氏本人は「学生のころ,カリスマ性のある経営者を見て,自分がそうなれるか自信がなかった。でも,大学生くらいになって,カリスマ性だけが成功するスタイルではないんじゃないかと思うようになった」と語っている。

 その後宇野氏は,独特なチーム経営を実践していく。その一つが,長い会議とスピード経営である。ブロードバンド放送「GyaO」など新事業を始めるときは,1回2~5時間もの会議を何度も重ねて,役員や社員の意志をまとめ上げていく。この会議は深夜から始まったり,土日に開催したりすることも多いが,社長が率先して仕事をしているだけに,社員は付いてくる。あらかじめ長い会議で意志が通じているからこそ,速いスピードでサービスが生まれる。

 例えばGyaOは,宇野社長が「ブロードバンド放送を無料でやるとどうかな」と加茂正治副社長に話したのが2004年12月下旬。2005年正月明けに役員会で新事業として進めることを決定し,毎週末の長い会議を経て,4月にはサービスを開始したのだ。会社としての意志決定からサービス開始まで,たった3カ月しかかかっていない。さらに開始後1年強の2006年5月にGyaOは,登録者数が1000万に届こうとしている。

 ほかにもこの本には,光ファイバー事業やGyaO事業に関するドキュメントと宇野氏の考えが詰まっている。USENと社長宇野康秀にご興味があれば,ぜひご覧いただきたい。