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写真1●プログラミング部門の競技中の様子。L字型の一つのテーブルが1チーム。パソコンはチームに1台だけである
写真1●プログラミング部門の競技中の様子。L字型の一つのテーブルが1チーム。パソコンはチームに1台だけである
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写真2●正解すると風船がテーブルに運ばれる。赤い風船が一つ45点。青い風船が一つ16点。緑色の風船が一つ10点
写真2●正解すると風船がテーブルに運ばれる。赤い風船が一つ45点。青い風船が一つ16点。緑色の風船が一つ10点
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 2005年の「全国高等学校パソコンコンクール」,別名「パソコン甲子園2005」は,福島県の会津大学で11月5日,6日の2日間にわたって開催されました。3人1チームで4時間の間にプログラムの作成能力を競うプログラミング部門と,2人1チームで人の心を打つ作品を制作して発表するデジタルコンテンツ部門の二つがあります。それぞれ,去年以上に高レベルの熱戦が展開されました。

得点状況が一目でわかるようになった
プログラミング部門

 大会初日に行われたのは,プログラミング部門のコンテストです。応募は257チーム771人。この中から予選を勝ち抜いた20チーム60人が,3人1チームで1台のパソコンを使用し,難易度の異なる問題30問に解答するプログラムを作成します(写真1[拡大表示])。問題の難易度は3段階あって,それぞれ配点も異なります。比較的やさしい問題が9問で各10点,中程度の問題が15問で各16点で,難しい問題が6問で各45点です。すべて正解できると計600点満点。去年より20問,200点少なくなりました。どの問題をどういう順番で解いてもよし,参考書を持ち込むのもよし,チームで話し合うもよし。4時間の競技時間の間にできるだけたくさんの問題を解いて,最も高い得点をマークしたチームが優勝です。解答に利用できるプログラミング言語は,C,C++,Java,Visual Basic .NET,十進BASICの五つです。

 今年は競技の運営方法が少し改良されました。改良点の一つ目はプログラムの提出がネットワーク経由になったこと。去年までは解答を収めたフロッピーを歩いて提出しにいく方法でした。参加する学生は徒歩で移動しなくていい分,問題を解くことに集中できます。

 二つ目の改良点は各チームの現時点での得点が風船で表示されるようになったことです。10点問題が解けたら緑の風船1個,16点問題が解けたら青い風船1個,45点問題が解けたら赤い風船1個が配布されて,それぞれのチームブースの前に飾られます(写真2[拡大表示])。そして,その時点での1位のチームの前には,黄色い大きな風船が置かれることになっており,どのチームがトップを走っているかが一目でわかります。

 さて,開会式,競技説明に続いて,競技は13時30分にスタートしました。今年も図書館で勉強している学生を観察している気分になるのかなあと思っていたのですが,これが大違い。“風船”のおかげもあって,4時間がまったく長く感じられないほど,目まぐるしい展開となったのです。

抜きつ抜かれつデッドヒート

 まず,競技開始10分過ぎに,10点問題を解いたチームがポンポンポンと三つ現われました。名古屋市立工芸高等学校,静岡県立浜松工業高等学校(以下,浜松工高),三重県から参加の高田高等学校(以下,高田高校)です。と思いきや,開始20分過ぎには茨城県立勝田工業高等学校(以下,勝田工高)が,いきなり難しい45点問題を解いて飛び出します。最初はこうちゃく状態が続いた去年とは比較にならないスタートダッシュ。これは面白い試合になりそうです。

 開始30分過ぎに突然スピーカーからBGMが鳴り出すというハプニングが起こったものの,参加者はまったく意に介しません。そのまま競技は続けられました。しばらく勝田工高の45点効果が続くかと思ったのですが,それから20分も経たぬうちに浜松工高が10点問題を次々とものにして抜き返します。他のチームも着実に得点を重ね,開始1時間過ぎには,参加全チームが得点している状況になりました。

 それから10分ほどして,45点問題を二つ正解して,埼玉県立伊奈学園総合高等学校(以下,伊奈学園)がトップに立ちました。この時点で赤い風船二つは目立ちます。しかし,浜松工高も負けじと45点問題を解き,再びトップに。10分後にはそれを高田高校が抜き返し,その10分後には浜松工高が,その40分後には高田高校が——という具合にもう,抜きつ抜かれつのデッドヒートがずっと続きました。それにつれて黄色いバルーンが忙しく移動します。あちらと思えばまたこちらという感じ。競技時間あと1時間のところで,すでにトップ争いは200点を越える攻防になりました。

 20チーム60人の学生が一同に観覧席に背を向けて問題に取り組んでいるので,なかなか個人を判別するのは難しいのですが,その中に一人とても目立つ学生がいました。伊奈学園の須永高浩くん。コーディングのスピードがほかの学生とはまったく違うのです。ピアノでも弾いているかのように,キーボードを打つ手がひとときも止まりません。ときに笑顔を浮かべたり,右手の指を宙で踊らせたり,まるでノってるときのプロのプログラマを見ているみたいでした。頭にコードが全部浮かんでいないとああいう打ち方はできませんから,相当な使い手とお見受けしましたね。

 競技時間が残り30分になると,得点表示の更新が止まります。それは優勝チームがリアルタイムにわかってしまってはおもしろくないから。実は,この最後の30分でドドドッと回答の駆け込み提出をするチームがあるので,順位が大きくひっくり返る可能性があります。終了30分前のトップ5は,1位が高田高校(240点),2位が福島工業高等専門学校(以下,福島高専)(231点),以下,3位浜松工高(208点),4位一関工業高等専門学校(182点),5位伊奈学園(171点)と続きました。

 競技終了後,審査員の先生の一人に「問題の難易度を下げたのですか」と質問すると,「そうではない」という答え。問題の数は相対的に減らしたけれど,3種の問題のレベルそのものは動かしていないそうです。ということは学生のレベルが上がっているんだ。なんとすばらしい。

戦い終えても学生はドキドキ

 この日の夜,学生たちの交流会が催され,さっそく参加者に感想を聞いてみました。まずは,暫定1位の高田高校から福村史哲くん。4時間の競技の感想は「プログラムを速く書くという経験は初めてだったので,それがなかなか大変でした」とのこと。見るほうには楽しい風船による現時点の得点表示システムについては,「めちゃくちゃ気になりました。その時点で1位といっても,問題が解けたのに回答を提出していないチームがいるのではないかと思ったり,疑心暗鬼状態でした」との答え。たしかにプレッシャかもしれませんね。終盤,ブースの中を歩きまわっていたことを聞くと「どうしても解けない問題があって,立って歩けば解法が浮かぶかなと思ったんですが,ダメでした」。このまま逃げ切れそうかを聞いても「最後は3人ともすごく疲れてしまったので…。駆け込み回答があまりなかったことを祈りたいです」と自信なさそうです。

 次は,高専からの参加チームでトップ争いにからんでいた福島高専の大澤昇平くん。パソコン甲子園はおととし2003年の第1回大会に参加したことがあるのだそうです。まずは問題の難易度を聞いてみると「難しかったけど,僕らにはちょうどよかったです」。なかなか自信があるようです。その自信の背景を探るべく作戦を聞いてみると「おととしは一気に得点を稼ごうと難しい問題から取りかかって玉砕したので,今年は10点問題を着実に解いていこうと話し合いました。実際,10点問題は僕らのチームが一番たくさん解いていたと思います」とのこと。たしかに観戦席から見ていてもその通りでした。では“風船”による他校のプレッシャはなかったのでしょうか。「他校の進み具合を見て作戦を変更したりはしませんでした。1問1問解いていく先に勝利はあると確信していました」とこれまた見事な答え。勝利への自信も「あります!」と力強く語ってくれました。

 このあとぐるりと交流会の会場をひとめぐりしてみましたが,みんな戦い終えて晴れ晴れとした表情。コンテストではライバルだった他のチームとも積極的に交流しているようで,素の高校生に戻ってパーティを楽しんでいました。こういう出会いを持てるってところが,挑戦しようと踏み出した人の特権ですよね。


名 称:第3回全国高等学校パソコンコンクール
開催地:会津大学(福島県会津若松市)
URL:http://www.pref.fukushima.jp/pc-concours/

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