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 「ワンセグを語るなら,自ら体験しないわけにはいかないだろう」ということで,先週末,ワンセグ対応の携帯電話機を購入しました。

 筆者が所属する『日経エレクトロニクス』でも,過去に数度に渡ってワンセグに関する記事を掲載してきましたが,いざ体験してみると,画質の高さには改めて目を見張るものがあります。地上デジタル放送推進協会(D-pa)でワンセグの規格化を主導したフジテレビジョンの関祥行氏は「(最新の圧縮方式であるH.264の採用で)驚くほどきれいに映る」と表現していました(日経エレクトロニクス2004年6月7日号,Interview参照)が,まさにその通り。

 特に,取材だけでは体験できない高速移動時の映像の安定ぶりには驚きました。この週末にたまたま新幹線で移動する機会がありましたが,トップ・スピードに達してもほとんど映像が乱れることがありませんでした。このほか,ビル影が多そうな山手線の車内やオフィスや自宅の室内でも予想以上に受信できます。映像に加えて受信性能についても概ね満足できる水準にあります。

 一方で様々な要求が出てきました。筆者が新幹線内で見ていた競馬中継は,発走の直前からトンネルに入ってしまい,トンネルから出たころにはウイニング・ランに変わっていました。これは悔しい。地下鉄ではトンネル内受信の実験も行われており,これが広がってほしいと感じました。あるいは,過去にさかのぼって番組が見られる「タイムシフト再生」があったらいいと思います。例えば「ある放送局の会員になっていればタイムシフト視聴できるサービス」など,いずれ登場してほしいものです。不慮の障害で見られないことがある放送を,通信が補完するサービスです。

 これは一例ですが,放送と通信の両事業には「広告主からスポンサ料を得てビジネスが成り立っている放送事業」と「利用者から利用料を得てビジネスが成り立っている通信事業」というビジネス・モデルの違いがあり,現状では大きな隔たりがあるのは止むを得ないところです。

 しかし,ここに来てワンセグなどが始まり,両者の溝を埋めて新しいメディアの姿を模索しようという動きが顕在化しています。ワンセグについて言えば「ワンセグ利用者の視聴パターンは据え置きテレビと違うのか?」「モバイル・テレビ視聴者が好むデータとは何か?」「端末コストの増分を誰がどうやって回収できるのか?」「モバイル・ユーザーが使いやすい電子番組表とは何か?」「放送向けに作ったコンテンツはどこまで通信で配信できるか?」などが,注目すべき指標でしょうか。新しいメディアですから,利用が進むにつれてほかにもたくさんの視点が出てきそうです。

 ワンセグに代表される通信と放送の融合時代に向け,日経BP社の日経コミュニケーション,日経エレクトロニクス,日経ニューメディア,ITProは共同で,2006年5月19日に通信や放送事業者,コンテンツ提供者,端末メーカーなど各界の主要プレーヤが一堂に会する「メディア コンバージェンス サミット2006」を開催いたします。デバイスから機器,サービスそしてビジネス・モデルまでのバリュー・チェーンを論じることで,市場の活性化と拡大を期待するものです。

 ワンセグについては,巨人戦中継などでデータ放送の活用に積極的な日本テレビ放送網の佐野徹氏,テレビ番組とショッピング・サイトとの連携に積極的なKDDIの神山隆氏にご登場いただきます。多くの方のご参加をお待ちしております。