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 ワンセグの本放送が始まってもうすぐ1カ月。読者のなかには,すでにワンセグ対応の携帯電話を購入した方もいるだろうし,量販店の店頭などで見かけた人は多いに違いない。記者の周りでも,すでに5人ばかりからワンセグ・ケータイを購入した話を聞いた。特に業界関係者やケータイ・マニアでない一般の人たちであっても,ワンセグを携帯電話選びの一つのポイントにし始めている。

 記者は本放送に先駆けて,ワンセグ・ケータイを購入した。デジタル・ガジェットに関しては新し物好きであることに加えて,記者として携帯電話をかなり長い間にわたってチェックしてきたので,一つの時代の始まりに立ち会いたかったこともある。そこで感じたのは,ワンセグのデータ放送はどんなシチュエーションで見られるのかということだった。

データ放送で各種の情報を“無料”でゲットできるが…

 ワンセグの一つのウリは,データ放送をテレビ番組と連動して送れること。ニュースや天気予報などの一般情報だけでなく,番組の紹介サイトへの誘導や,ドラマの出演者が着ている服のショッピングなどにも応用が期待されている。ニュース速報やスポーツ情報などが画面中に電光掲示板のように流れるティッカー表示をするチャンネルもある。

 ワンセグ・ケータイを実際に使ってみて,データ放送がしっかり機能していることは確認できた。今まではiモードやEZweb,ボーダフォン ライブ!など,パケット通信料金をかけて確認していた天気予報やニュース速報の見出しなどが,無料で見られるのはちょっと得をした気分だ。データ放送にあるバナーやボタンから,携帯電話向けのWebサイトに誘導する流れも大きな違和感はない。

 しかし,記者がワンセグ・ケータイで「テレビを見る」とき,データ放送はどちらかと言えばじゃまに感じる。携帯電話の画面は,大きくなってきたといってもたかだか3インチ程度。フル画面で表示して,ようやくテレビを“楽しめる”レベルの画面サイズでしかない。そのため,番組を映しだす面積が小さくなるデータ放送同時表示のモードではテレビを視聴しようと思えない。どうしてもフル画面でテレビを表示してしまうのである。

 さらに,もう一つ記者がデータ放送を活用しない原因がある。それは,テレビというメディアの「完成度」にある。現状のワンセグは,地上デジタル放送やアナログ放送と同一の番組を流す「サイマル放送」である。要するに,単体で完結するように作られた番組を放送しているわけだ。そのテレビ番組を見ているときに,あえてデータ放送やWebサイトなど別の情報メディアにアクセスする必然性を感じないのである。さらにパケット代がかかるWebサイトにまで視聴者はアクセスしてくれるのだろうか。

 今後,より大画面の携帯電話が登場したり,ワンセグ向けにデータ放送との連携を意識した独自の番組が作られてくれば,現時点で感じているデータ放送への違和感は解消されるかもしれない。すでに番組に連動したデータ放送サービスも試行が始まっている。

 確かに,ニュースや天気予報を無料で確認しようとするときに,iモードなどの代わりにワンセグのアプリを起動することはある。ただ,テレビを見ることを目的に携帯アプリを起動した場合に,データ放送を同時に閲覧する機会は,記者個人にはまだ訪れていない。

 データ放送を介した放送と通信の融合の成功体験への道のりは,予断を許さない---。一人のユーザーとしてワンセグ・ケータイを使ってみて,そんな印象を持った。