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 NTTドコモは5月11日,第3世代携帯電話(3G)の高速版となるHSDPA(high speed downlink packet access)に対応した端末を発表した。(関連記事)。au(KDDI)のCDMA 1x WINをしのぐ下り方向最大3.6Mビット/秒という高速通信が可能になる。同時に,音楽ケータイとしての機能も備える。

 一方,ボーダフォン一色となったソフトバンクの2005年度決算説明会では,近く発売するシャープ製の端末を紹介(関連記事)。既存機種を提供している国内メーカーのほか,パナソニックモバイルコミュニケーションズが加わることを明らかにした。HSDPAを使った高速通信サービスの計画に言及している。さらにその後,内容についてソフトバンクはノーコメントとしているものの,米アップルコンピュータと携帯電話へのiPod搭載を検討しているという報道があった。HSDPAについては,イー・モバイルも計画を明らかにしている(関連記事)。

 ただ,賑やかさの一方で,端末メーカーは苦しい状況に追い込まれている。市場が以前よりも頭打ち気味になってきているうえに,多数の端末メーカーがシェアを奪い合っているからだ。しかも,端末の進化はそろそろ先が見え始めた。カメラ,GPS(全地球測位システム),ICカード技術のFeliCa,無線LAN,音楽プレーヤ,そしてテレビ。考えうる機能はあらかた搭載された。この点は端末メーカーも否定しない。今後は新しいハードウエアを取り込むというより,斬新なデザインや使い勝手向上に今まで以上に重点が置かれることになる。しかしそれは,今までのような斬新さが薄れていくことでもある。

 こうなってくると気になるのが海外メーカーの存在だ。今でこそ,携帯電話事業者が決めた仕様に基づく端末が主流だが,今後はどうなるかわからない。事業者とは無関係に選べる,いわゆる流通端末の採用が進む可能性がある。その方が,事業者は端末のバリエーションを広げられる。しかも,事業者は,すぐにとは言わないが,販売奨励金(インセンティブ)を削減したがっている。インセンティブの幅が縮まって,顧客にとって端末価格が上がれば,相当数の顧客が海外メーカー製の安価な機種に流れることは必至。日本の端末メーカーにとって,状況は一層厳しいものになる。

 端末デザインで国内のメーカーが引けを取っているとは思わないが,海外メーカーは何といってもラインアップが豊富。しかも,インセンティブがなければ,量産効果を出しやすい海外メーカーは,日本のメーカーよりも有利な製品を提供できる。既に,日本のような機能面での差別化が通用しない海外では,日本メーカーは苦い思いをさせられている。例えばNECは,2005年度の決算発表で,携帯端末事業の不振の理由を「中国で中下位機で海外メーカーに負けたこと」とした(関連記事)。これと同じ状況が日本国内でも起こり得る。

 さらに,アプリケーション面でも,ブラウザの進化などにより,差別化は難しくなってきている。コンテンツが各事業者特有のものであれば,優位は保てるかもしれない。しかし,オープンなインターネット環境を利用できるようになれば,コンテンツでの差別化も難しくなる。実際,ソフトバンクは携帯電話からのオープンなインターネット接続にはかなり本気。実現すれば,他の事業者が追随する可能性もある。そうなれば,通信事業者の独自仕様は必ずしも通用しない。

 日本のメーカーも手をこまぬいているわけではない。海外メーカー対策というわけではないが,少なくとも,既にOSの一本化や他のメーカーとの共同開発など,コスト低減を進めてはいる。海外メーカーを相手にどこまでわたりあえるか。今までの国内での競争は序の口。正念場はこれからだ。