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図1 人間の脳の内部には今でも恐竜時代と同じ部分が隠されている<BR>爬虫類時代の脳幹の上に旧哺乳類時代の大脳辺縁系が,その上に人間特有の大脳新皮質が増築する形で巨大化してきた。
図1 人間の脳の内部には今でも恐竜時代と同じ部分が隠されている<BR>爬虫類時代の脳幹の上に旧哺乳類時代の大脳辺縁系が,その上に人間特有の大脳新皮質が増築する形で巨大化してきた。
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図2 イーサネットには今では意味不明となった規則がいくつもある&lt;BR&gt;これらは開発当初の設計が今でも残っているイーサネットの「ジュラシック・コード」が原因だ。
図2 イーサネットには今では意味不明となった規則がいくつもある<BR>これらは開発当初の設計が今でも残っているイーサネットの「ジュラシック・コード」が原因だ。
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 地球上に生命が誕生して約35億年,人類が誕生してから約700万年の時が経過したといいます。その誕生以来,生命は単細胞生物からめざましい進化を遂げています。中でも私たち人類は,火の発見や石器の発明から,芸術の発展あるいは科学技術の発明まで数多くのことを成し遂げてきました。

 こういった人類発展の歴史は,いってみれば脳の進化の歴史でもあります。現代の人間の脳は約140億個という膨大な神経細胞の固まりといわれています。このように巨大に進化する過程で,脳は単純にそのまま容量が大きくなったわけではありません。古い脳の上に新しい機能を持つ脳を増築する形で,次第に巨大に進化してきたとも言われています。(図1[拡大表示])。

 その中で最も新しい脳に分類される「大脳新皮質」が,人間特有の知性や理性を司っている部分とされます。その下には,欲求や感情といった哺乳類に共通する本能の部分を司る「大脳辺縁系」と呼ばれる部分,さらには生命維持やテリトリーの防衛といった恐竜など爬虫類にも共通する「脳幹」と呼ばれる部分が隠されています。大脳新皮質が大脳辺縁系や脳幹をコントロールすることで,人間は秩序だった日常生活を送っているのです。

 しかし,人間社会でも時として戦争や犯罪などの争いごとが起こることがあります。これは,大脳新皮質が支配しきれずに,闘争心に満ちた恐竜時代の古い脳が人間を支配するからだという説があります。もしかしたら,理性と知性に満ちたように見える人間の脳にも,奥深くの部分では“ジュラシック・コード”と呼ばれる恐竜の脳が今も生き続けているのかもしれません。

イーサネットにもジュラシック・コードが存在

 イーサネットは10Mビット/秒の10BASE5(テンベースファイブ)*から始まり,100Mビット/秒や1Gビット/秒を経て,現在では10Gビット/秒まで高速化を遂げてきました。この進化の過程で脈々と受け継がれてきたのが,連載の第2回で説明したイーサネットのフレーム*形式です。

 イーサネットで規定されている各種の仕様の中には,伝送路を共有しないスイッチ*が一般的で,ネットワークの高速化も進んだ現在の世界だけを見ていると,意味がなくなったものや存在理由が不明なもの,さらには不必要とさえ思えるものがあります(図2[拡大表示])。例えば,(1)なぜフレーム間にはギャップが必要なのか,(2)なぜ最小フレーム長は64バイトと決まっているのか,(3)なぜ最大フレーム長は1518バイトなのか,(4)なぜ同一セグメント内に最大1024台までなのか——といった疑問が浮かんできます。

 わざわざ無駄な領域を作らずに,データを送る領域をもっと増やせば効率よくデータを転送できる気がします。端末の制限もないほうが扱いやすいはずです。このように,改めて考えると,よくわからないことが数多く出てきます。

 これらの規則が存在している理由としては,イーサネットが登場した初期に重要な機能であった「CSMA/CD」が挙げられます。つまり,現在のイーサネットの根底にも,登場した当初に起因する制限が残っているのです。まさにCSMA/CDがイーサネットにおけるジュラシック・コードといえる存在でしょう。


●筆者:岩崎 有平
アンリツ
IPネットワーク事業推進部 副事業推進部長
●筆者:福井 雅章
アンリツ
システムソリューション事業部 第1ソリューション開発部 プロジェクトチーム課長