読者の皆さんは「SQL Server 2005」のエディションの選択肢を,合理的な数まで絞り込んでいるだろうか。筆者は最近,顧客から次のような質問をよく受ける。「SQL Server 2005 Enterprise Editionに何千ドルものお金余分に使う必要があるのだろうか?」「SQL Server 2005 Standard Editionを購入しなくても,無料のSQL Server 2005 Express Editionで間に合うのではないか?」。SQL Server 2000のころは,この質問に答えるのは非常に簡単であった。しかしSQL Server 2005で,状況はかなり変化した。
SQL Server 2005のエディションを選ぶに当たって多くの企業が最初に直面する問題は,「SQL Serverにお金を払うべきか,無料のバージョンで間に合わせるべきか」ということだ。SQL Server 2000なら,答えは単純だった。SQL Server 2000の無料バージョンである「MSDE」には管理ツールが含まれていなかった。さらに,「パフォーマンス・ガバナー」(MSDEの性能をある水準に押さえ込む機能)のせいで,MSDEのパフォーマンスは,個人的な用途以外には使い物にならないレベルに押さえ込まれていた。
しかしSQL Server 2005 Express Service Pack 1(SP1)には,便利なGUI管理ツールが含まれている。また,1Gバイトのメモリーを積んだ高速デュアルコア・プロセッサ搭載サーバーでSQL Server 2005 Expressを実行すると,規模の小さい環境向けの非常に優秀なデータベース・プラットフォームになる。「SQL Server 2005 Express with Advanced Services」には,レポーティング・サービスまで含まれている。
無料版ではないSQL Server 2005の場合,「Enterprise Edition」と「Standard Edition」のどちらを選ぶかが,難しい問題になる。Enterprise Editionは,SQL Server 2000にも存在した。Enterprise Editionは,Standard Editionには存在しない数多くの機能が搭載されている。SQL Server 2000で,Enterprise Editionが必要になる決め手は,メモリー使用量だった。SQL Server 2000 Standard Editionのメモリー使用量の上限は4Gバイトだった。これ以上のメモリーが必要だったり,Enterprise Edition独自の機能が必要ならば,Enterprise Editionを選択するのが唯一の解決策だった。
ところがSQL Server 2005では,メモリーはもはや決断を下す際の主要な判断材料ではなくなった。SQL Server 2005 Standard Editionは,OSが扱えるのと同量のメモリーをサポートしているからだ。
SQL Server 2005 Standard Editionは今でも,最大4個のプロセッサしかサポートしない。Enterprise Editionだと,OSがサポートするプロセッサの数が上限となる(Windows Server 2003の場合最大64個)。とはいえ,Microsoftは「プロセッサ」をソケット・レベルで定義している。つまり,SQL Server 2005 Standard Editionは,最大4個のデュアルコア・プロセッサのマシンで利用できる。デュアルコア・プロセッサを4個搭載するマシンと,シングルコア・プロセッサを8個搭載するマシンを比べると,前者はスピードが若干劣るだろうが,性能が著しく劣る訳ではない。また近い将来,コアを4個搭載するプロセッサも登場するだろう。Standard Editionの「最大4プロセッサ」という上限は,決して深刻な上限ではなくなったのだ。
もちろん,SQL Server 2005 Enterprise Editionには,お金を払うのにふさわしいだけの機能が搭載されている。数多くの可用性機能や拡張性機能などである。しかし,Standard Editionの演算力は強力であり,メモリーやプロセッサの観点でSQL Server 2000の時代にEnterprise Editionを選択したユーザーが,SQL Server 2005になってもEnterprise Editionを選択するかどうかは疑問である。
筆者はここで,SQL Server 2005の各エディションにおける詳細な機能の違いを比較するつもりはない。その話題に触れるには,あまりにも多くの文字を費やさなくてはならないからだ。今回の記事の目的は,読者の皆さんにいろいろと考えて頂くことである。あなたに必要なSQL Server 2005のエディションはどれだろうか。SQL Server 2005なら,安価なエディションで間に合う可能性は高い(訳注:SQL Server 2005の機能一覧は,マイクロソフトのWebサイトで確認できる)。