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 5月18日午後2時過ぎ−−。東京・六本木にあるグランドハイアット東京の2階宴会場に着くと,予定では既に記者会見が始まっているはずが,まだ扉が開いている。不審に思いながら受付に近づくと,「開始時刻を予定より30分遅らせました」という声。KDDIと米グーグルの提携発表である(関連記事)。

 受付にいたKDDIの広報担当者に理由を聞くと,ソフトバンクが急きょ,直前に記者発表を開いたことで,記者の集まりが悪くなったためだという。ソフトバンクは元々,この日の夕方に新ブランドを発表(関連記事)する予定だったが,当日になって開始時刻を大幅に繰り上げたらしい。一部では,「KDDIの発表内容を聞きつけて,あえて時間帯をぶつけてきたのではないか」とささやく声も聞こえた。実際には,会見を妨害してみたところであまり意味はないから,そんな企みはなかっただろう。ただ,発表内容は確かにぶつかっている部分があった。

 開始予定時刻から待つこと約30分。それまでにはかなりの数の記者が集まり,午後2時30分,会見はスタートした。グーグルの名前から想像がつく通り,KDDIは新たなコンテンツ戦略を発表した。キーワードは,「オープンなインターネット」である。ソフトバンクも,直前の会見で英ボーダフォンと合弁会社を設立する計画を明らかにし,「モバイル・ポータルでNo.1を目指す」(関連記事)と強調した。

 今年11月に番号ポータビリティ(関連記事)のスタートを控え,各社は既存顧客の囲い込みと新規顧客獲得に向けた戦略展開に必死。“オープン化”の強化もその一つだ。KDDIは,グーグルが提供しているオープンなインターネットの検索機能を携帯電話から利用しやすい環境を整えた。これに対してソフトバンク-ヤフー連合がどう出てくるか。今のところはモバイル向けのポータルにとどまっているが,それだけかどうかは分からない。一口にオープン化と言っても,その解釈,あるいは実現方法は事業者によって異なる。

 では,ユーザーから見て,利用したいオープンなインターネット環境はどんなものか。携帯電話は,PCとは端末性能が違う。使うシチュエーションも異なる。だから,機能面では自ずと限界が出てくるし,ユーザーが必要だと考える機能もパソコンとは当然違ってくるだろう。

 個人的には,今回のKDDIの取り組みはかなり評価できる。PCもなく,フルブラウザ搭載のケータイも持たない筆者にとっては,外出先で何かを調べたいときにはうってつけ。モバイルの世界に閉じた検索に,今まで散々イライラしていたが,これで問題を解決できる。今使っている事業者から乗り換えようかと,真剣に考える。パソコンから使うインタネットを考えると,機能はまだほかにもたくさんあるように思えるが,ニーズのほとんどは満たしてくれそうな気がする。

 ただ,事業者のサービスのスタイルが今のままだとすれば,少なくとも事業者を乗り換えれば,“オープン”の定義の違いをユーザーが飲み込まなければならない。これに対してパソコン向けのインターネットは,利用する端末の機種,OS,接続するISPのどれをとっても,乗り換えは自由だし,機能は変わらない。オープンなインターネットというのは,こういう環境があって初めて成り立つのではないだろうか。それはそれで,事業者のビジネスモデルが成り立ちにくくはあるのだが。