新生銀行、日本振興銀行、日興シティ信託銀行、最近ではライブドアが西京銀行と設立準備を進めていたインターネット専業銀行の勘定系システム—。このすべてに使われたのがi-flexソリューションズ(i-flex)のオープン勘定系パッケージ「FLEXCUBE」だ。本誌の取材では、イオンが来年設立する新銀行もFLEXCUBEを採用する。
新設の銀行でFLEXCUBEの採用が相次ぐ理由は、「国産の勘定系パッケージの半額以下」(i-flex日本法人の小原順一ゼネラル・マネジャ)という抜群の価格競争力にある(表[拡大表示])。
安さが効く理由は明快。銀行法が開業後3年以内の黒字化を定めているからだ。「システムの調達コストを抑えれば、それだけハードルを越えるのが楽になる」(ネット専業銀行の設立企画担当者)。しかもネット銀行の場合、サービス開始のタイミングが顧客獲得に大きく影響する。新銀行であれば引き継ぐべき既存業務もないため、企画担当者たちの視線は、自然と低コスト・短期構築を売り物にするパッケージに向く。
i-flexは1992年に米シティバンクのシステム部門が独立したインドのベンダー。米IBMとのつながりが深く、インドはもとより、アジア、オーストラリアでシステム構築の実績を積み重ねてきた。ユーザー数は全世界で約240。インドにはFLEXCUBEの導入・開発だけで2300人のエンジニアを抱えている。グローバル展開している製品だけに、国内市場だけで投資を回収する国産パッケージとは、コスト構造がまったく異なる。
2000年に日本上陸した当初は、給与振り込み、公共料金の引き落としなど、国内固有の銀行業務に対応していなかったFLEXCUBEだが、「5~6年かけて“日本化”はほぼ完了した」(小原ゼネラル・マネジャ)。
さらに、米オラクルがi-flexを傘下に収めたのを受け、日本オラクルは6月にも10人規模でFLEXCUBE専門の営業チームを発足させる。「すでに数行の商談が進行中」(日本オラクルの桑原宏昭 金融インダストリー本部長)だという。
銀行の勘定系システムは、とりわけパッケージ・ソフトの採用が遅れている分野。この市場をほぼ独占してきた大手国産ベンダーは、グローバルなパッケージ製品への対策を早急に講じなければ、顧客ベースを守ることすら危うくなる。