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 携帯電話3事業者から,2006年の夏モデルの端末ラインアップが発表された。夏のボーナス商戦に向けて,例年にも増して新端末のバリエーションは豊富だ。

 先陣を切ったNTTドコモは,5月11日に一挙10機種を発表。次いで5月18日にはボーダフォンが,携帯電話事業の新ブランドとなる「ソフトバンク」のお披露目と同時に,夏モデル6機種を発表した。最後になったKDDIもau携帯電話7機種を22日に公開した。もちろん,これらがすぐに店頭に並ぶわけではないが,10日ばかりの間に23機種もの新製品が発表されるのは珍しいことだ。

 ここで夏モデルのキーワードを確認すると,NTTドコモとKDDIは“ミュージック”,ボーダフォンは先行した2社に追いつけと“ワンセグ”が浮かんでくる。音楽や映像がこの夏のケータイの“ウリ”のようだ。

 しかし,端末の数は豊富でも,記者にはこの夏モデルはあまりピンとこない。個々の新製品は,大容量メモリー内蔵で長時間の音楽再生ができたり,高速ダウンロードが可能な新サービスを使って音楽番組を自動的に取り込んだり,ワンセグでテレビを見ながらメールなどが可能になったりと,十分に魅力はある。とはいえ,最大3.6Mbpsの高速ダウンロードが可能なサービス「HSDPA」をNTTドコモが開始する以外は,携帯電話本来のサービスや機能が少し底上げされた程度で,あまり印象に残らない,というのが実感である。

 実際,携帯電話に詰め込むサービスや機能で“大物”といえるものが,もはや残っていない,という事情もある。でもそれだけではなくて,記者の目には,この夏モデルが「時間稼ぎ」的なイメージに映る。なぜなら,この11月には携帯電話の番号ポータビリティが始まり,そのタイミングでの商戦に乗り出すことを余儀なくされるからだ。

 通常なら,夏モデルの次は冬モデルであり,10月ごろに発表して,順次発売していく。ところが,今年に限っては,10月に発表したのでは遅い。番号ポータビリティが始まる前に,“秋商戦”を演じなければならないからだ。

 要するに,商戦期としても次期端末の開発期間としても,夏モデルから次の新モデルまでの時間が短いことになる。それに,番号ポータビリティによって契約の増減がかかった商戦となれば,各社とも簡単に負けるわけにはいかないから,本腰を入れた製品が並ぶと予想される。

 そんな思いで夏モデルを見てしまうと,「ぼちぼち携帯電話の買い換えのタイミングか」と思っていたとしても,ちょっと待ちかな?と感じてしまう。今出された料理も決してまずいわけではないけれど,次にはもっとおいしいディナーが待っているかも。そんな気持ちがどうしてもぬぐえないのである。