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 最近私は,個人的な興味から「NLP(神経言語プログラミング)」を勉強しています。

 こんな名前が付いていますが,別にコンピュータのプログラミング言語ではありません。ざっくりと説明すると,心理学や脳神経科学の研究成果を使って,他者と友好的な関係を築いたり,自分の性格や習慣を望ましい形に持っていくための手法です。

 もともとNLPは心理カウンセリングやセラピーのために開発されたものですが,最近は販売活動やクレーム対応など,ビジネス・シーンへの応用が進みつつあります。IT業界でもチーム・ビルディングなどにNLPを適用する動きがあるようです。

 今すぐ実践できるNLPの“小技”をいくつかご紹介しましょう。相手の姿勢などをまねる「ミラーリング」。そして相手の話し方に合わせて話す「ペーシング」です。人は自分と似た外見・内面的な特徴を持った人に親近感や安心感を覚える,という性質を持っています。ミラーリング,ペーシングはこの性質を使って,相手の心理的なバリアを取り去っていくものです。

 これと組み合わせると有効な手法が,相手の言った言葉を反復したり要約して伝えながら相づちを打つ「バックトラッキング」です。狙いは,「私はあなたの話を聞いていますよ」という意志を伝えること。ミラーリング,ペーシング,バックトラッキングといった手法を適切に使うと,話し相手と“心が通じ合っている感”---NLPでは「ラポール」と言います---を形成できる,というわけです。

 私も取材で実践してみました。心なしか先方の反応が以前より良くなってきたかも…! ただ“やりすぎ”は逆に相手に不快感を与えてしまうので,ご注意を。

ポジティブな言葉で力を引き出す

 NLPを実践する際のポイントは,なるべくネガティブな言葉を使わず,ポジティブな言葉を使うことです。

 一概には言えませんが,リーダーの方々はしばしば叱咤激励と称して,「おまえらはダメだ,だからもっと努力しろ」といった雰囲気の表現を使ったりしませんか?

 突然ですが…真っ赤な夕日を想像しないでください

 みなさんの頭の中では,どんな動きがありましたか? たいていの場合は,最初に真っ赤な夕日が思い浮かぶので,それをうち消す必要があるはずです。「想像するな」と書かれているので夕日は想像しなかった,という人は少ないかと思います。

 脳はその性質から,言葉を聞いたり見たりするとすぐさま記憶を検索し,その言葉に対応する映像や音声,感覚などをイメージしようとするそうです。「おまえらはダメだ,だからもっと努力しろ」というフレーズには最初に「おまえダメ」という言葉が入っているため,相手の脳内には「ダメな自分」がまず浮かび上がってくるわけです。ダメな自分を鼓舞しようとしても,なかなか立ち上がれそうにないですよね(^_^;

 さて,このフレーズを“NLP的”に変換すると,例えば「君たちは優れた素質を持っている,だからもっと挑戦できる」といった表現になるでしょうか。まず「素質を持っている自分」をイメージさせるこの表現は,少なくとも先ほどのフレーズよりは効果は高そうです*1。

*1 ただ,うつ傾向の人やうつ病にかかっている人には,必ずしもこうした方法の適用がベストとは言えないようです。詳しくは専門書などに譲ります。

 ご存じの方も多いかと思いますが,マラソンの「Qちゃん」こと高橋尚子選手を育てた小出義雄監督は,高橋選手のことをとにかくほめまくったそうです。小出監督が意識していたかどうかは分かりませんが,まさに小出監督はNLPの実践者と言えるでしょう。日本では古くから「言霊(ことだま)」,つまり言葉には霊力が宿っている,と言われてきましたが,さもありなんです。

 みんなでNLPを勉強すれば,デスマーチ・プロジェクトは減り,心身の調子を崩すITエンジニアも少なくなり,敬遠されるプロマネ職は再び人気職業になるかもしれません(あ,ネガティブな言葉が多い段落になってしまった…)。さらに明るく楽しいIT業界になることを祈って!