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 高速電力線通信の規格策定が大詰めを迎えている。6月5日に開催される第5回高速電力線搬送通信設備小委員会の場で,最終決着するとみられる。少なくとも主任の杉浦行氏はその方針だ。

 高速電力線通信設備の電磁波妨害に関する許容値にはさまざまなものがあるが,キモとなるのは電源線端子のコモンモード電流値。小委員会では,3月にモデル家屋のデータからこの値を30dBμAと算出した。

 この時点では多くの関係者(特に推進派)は,この数値で最終決着するものと読んでいた。だが,4月に行った意見聴取の結果,許容値の決定方法に不備があることが発覚(参照記事)。そして,5月に行った実験の結果を受け,15MHz~30MHzにかけての規制値を20dBμAに強化することを主任が提案(参照記事)。6月5日には,この提案に対する議論が行われる。

 かねてより総務省では,この夏の電波監理審議会を経て,関係省令を改正するスケジュールを想定していた。メーカーもそれに合わせて,早ければ秋にも製品を登場させる予定だった。6月5日の小委員会がすんなり終わりさえすれば,総務省の方のスケジュールに影響はない。

 だが,杉浦主任の提案がそのまま通れば,メーカーのスケジュールには影響が出そうだ。「30dBμAのままだったら,今秋に出荷できたのだが・・・」とあるメーカー担当者は語る。理論的には10dBの引き下げは,S/N比が一けた悪くなり,結果として速度も一けた悪化する。素人目には,これをカバーするのは容易でないように思える。事実,小委員会の場でもそうした声が出た。

 とは言え,30dBμAの数値が出た当初も,メーカーからは「厳しすぎる」との声が相次いでいた。それが,いつの間にか省令改正直後の製品登場がささやかれ出したということは,多くのメーカーが早期に30dBμAをクリアするメドを付けられたからだろう。はたして各社は今後,20dBμAの壁をクリアできるのか。規制値が決定しても,Y記者の取材は終わりそうにない。