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三井リース事業が導入した「TANDBERG 3000 MXP Profile」。取材時もこのテレビ会議システムを使い,東京,大阪,青森を結んで担当者にお話を伺った
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 「弊社のテレビ会議システムは,どんな目的で使っても構わないと社員には言っています。実際,私自身も,この役員会議室に缶ビールを持ち込んで会話したこともありましたよ」。設備機器のリースを手がける三井リース事業の平間貴志・秘書室長はこう話してくれた。2006年3月に大規模会議室向け3台と,持ち運びも可能な小規模会議室向け13台の計16台のテレビ会議システムを導入した三井リースを筆者が取材したときのヒトコマである。同社が選んだテレビ会議システムは,ノルウェーのタンバーグの「TANDBERGシリーズ」。米シスコシステムズのIP電話システムと併せて,数千万円をかけて導入した。

地方の社員との対面会話でグループの結束力を強化

 三井リースがテレビ会議を導入した大きな目的の一つは,同社の役員が地方のグループ企業の役員を兼務している場合などに,確実にグループ企業の取締役会に出席できるようにすること。5月1日に施行された「新会社法」では,新たに内部統制システムの構築を義務付けている。取締役会を通じた取締役の職務執行も,これまで以上に重要になった。しかし忙しい役員が,グループ企業の取締役会に毎回出席することはなかなか難しいという。そこでテレビ会議システムを導入することにしたのだ。

 ただ同社の目的はそれだけではなかった。社員同士のコミュニケーション強化のためのツールとしても位置づけている。特に同社は,ここ数年で福岡など地方に本社を置くリース会社3社を買収によってグループ化した(東京本社のリース会社を合わせると計4社)。昨日までほとんど関係のなかった会社の社員に対して「さあ今日からグループ企業,仲間ですよ」と言っても,人と人の密な関係が一朝一夕に作れるわけではない。ましてや勤務地が遠く離れている会社であればなおさらである。ところがテレビ会議を使えば,距離という壁を越えながら,コミュニケーションも密にすることができる。同社はそう考えた。

 しかし筆者は,顔が見られるからといって,それだけでコミュニケーションが密になるとは思わなかった。そこで少々意地悪な質問を投げかけてみたのだ。「人と人の関係作りって,仕事を通じた“オン”の関係よりも,むしろ“オフ”の関係,例えば宴席であるとか雑談であるとかの方が効果的だったりしますよね。テレビ会議をそんなふうに“オフ”に使えるようにもしているのですか?」。「コミュニケーション強化」などと言ったって,高価なテレビ会議専用システムのことだから,どうせ堅苦しい会議にしか使えないのではないか。それでは,現場同士のコミュニケーションが簡単に活性化するわけはないじゃないか。そんな邪推がベースにあった。

 ところが予想に反して,冒頭のような答えが返ってきたのだ。しかも可搬型のテレビ会議システムを13台も導入したのは,なるべく気軽にテレビ会議を利用できるようにとの配慮からであるという。実際,社員の利用率も上がっており,この13台では足りなくなったため,急きょ可搬型機3台の追加導入も決めたと言う。社員が実際に“リモート宴会”に使っているかどうかは定かではないが,ちょっとした打ち合わせなどに気軽に活用していることは事実のようだ。

文化の壁を越えて合併効果を高めるツールにも

 三井リースのように,高価なテレビ会議専用システムを大量導入する例は珍しい。しかし顔を見ながらコミュニケーションをすることを目的に,パソコンを使ったデスクトップ型のテレビ電話/テレビ会議システムを導入する企業は最近急速に増えている。


日立コミュニケーションテクノロジー製のソフトフォン「PC-IPフォン」で,テレビ電話やアプリケーションの画面共有を実現したUFJニコス
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 昨年10月に日本信販とUFJカードが合併して誕生したUFJニコスも,そうした企業の1社。2006年3月の新本社開設に合わせて,IP電話システムを導入。音声通話は固定型のIP電話機やIP電話システムと連携させた構内PHSなどを使っているが,同時に,テレビ電話,ホワイトボード,画面共有,チャット,ファイル転送などの機能を備えるソフトフォンも積極的に活用しようとしている。

 現在のところ,テレビ電話機能が付いたソフトフォンを導入しているのは新本社だけだが,いずれ全国に散らばる拠点にソフトフォンを導入していき,社員間コミュニケーションを強化していく計画だ。「これからは顔を合わせてのコミュニケーションが極めて重要になる。リテール・ファイナンスの業界トップを目指すには,価値観の共有が不可欠だからだ」。同社の塩野譲・常務執行役員事務システム本部長は,こう強調する。その背景には,文化が違う二つの企業が一緒になったことによる合併効果を,早く出したいという思いもある。

 このほか,長野県塩尻市にある広丘事業所に開設した“実験的”研究開発拠点「イノベーションセンター」へのソフトフォン導入を進めるセイコーエプソンも,「コミュニケーション改革」を掲げて,テレビ会議やアプリケーション共有などによるコラボレーション環境の構築を推し進めていく意向である。

 PBXの更改時期を迎えたことなどをきっかけに,内線網にIP電話システムを導入する企業はもはや珍しくない。ただ技術がIPになったとしても,使い方が従来の内線電話と同じなら,音声コミュニケーションの質は変わりようがない。しかし音声のIP化は,テレビ電話/テレビ会議やアプリケーション連携など,コミュニケーションの変革に道をひらきやすいことは事実。音声IP化が,ようやくこうした段階に突入してきたのだということを,最近とみに感じる。

 「よう久しぶり元気か? なんだよそのネクタイ趣味悪いなあ。ところでちょっと相談があるんだ。実はある案件があって,おまえんとこの支店でなんとかならないかって思ってるんだよ。なんだよ,話も聞かないうちにそんなイヤな顔することないだろ……」。こんな光景が,オフィスのあちこちのデスクで展開されるような時代がくるかもしれない。

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 今回,取り上げた三井リース事業は「日経コミュニケーション」6月1日号の,UFJニコスは同5月15日号の事例記事「戦略ネットワーク研究」に掲載してあります。

 またいずれの事例も,本誌への掲載と同時に,読者限定Webサイト「日経コミュニケーションEXCLUSIVE」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/NCC/ex.html)で,動画なども交えて本誌以上に詳しく取り上げています。同様に,最後に少しだけ触れたセイコーエプソンは,「日経コミュニケーション」および「日経コミュニケーションEXCLUSIVE」の6月15日号に掲載する予定です。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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