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図●ビジネスグリッド推進コンソーシアムが取り組む標準化の範囲<br>OASIS:Webサービス関連技術の標準化団体  GGF:グリッド関連技術の標準化団体
図●ビジネスグリッド推進コンソーシアムが取り組む標準化の範囲<br>OASIS:Webサービス関連技術の標準化団体  GGF:グリッド関連技術の標準化団体
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NEC、日立、富士通の3社が5月11日、グリッド関連製品の競争力強化に向けコンソーシアムを設立した。この活動は、2006年3月に終了した150億円規模の国家プロジェクトを引き継いだもの。その成果を引き継げるかどうか、各社の経営判断が問われる。

 NEC、日立製作所、富士通の3社が設立したのは、「ビジネスグリッド推進コンソーシアム」。ビジネスグリッドとは、異機種が混在したシステム環境におけるアプリケーションの可用性を高めるために、プロセサやメモリー、ストレージ、ネットワーク機器などのシステム資源を融通するための仕組みである([拡大表示])。

 このコンソーシアムは、経済産業省の主導で、2003年4月から06年3月にかけて実施した国家プロジェクト「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」を引き継いだもの。ビジネスグリッド分野におけるミドルウエア製品の国際競争力強化に向け標準化に取り組むのが目的だ。

 プロジェクトには、国と3社の双方が約75億円、合計で約150億円を投入。3社からは常時、それぞれ80人弱の人員が専任で参加した。異機種混在環境で、各種のシステム資源を自律制御できるミドルウエアはまだ製品化されていないため、日本にも勝算があるとの判断だった。

 グリッド関連技術の標準化団体である米GGF(Global Grid Forum)やWebサービス関連技術の標準化団体の米OASIS における会議の主導権は、IBMなど米国企業が握っているケースがほとんど。そのため、プロジェクトでは、標準化の主導権確保にも積極的に取り組み、ビジネスグリッドに必要な仕様の全体像を定める「OGSA(Open Grid Services Architecture)」など七つの仕様策定に関与した。

 並行して、システム資源の融通をマネジメントする「ビジネスグリッドミドルウェア」を開発し、3社間の実証実験も実施した。プロジェクトに参加したNECの中誠一郎グリッド推進センター長は、「この3年間で、ビジネスグリッドに必要な仕様は一通り策定し、米GCFなどに提案した」と話す。

 「日本は標準化活動に弱い」と指摘される中、これだけの成果を上げたプロジェクトを引き継ぐコンソーシアム。だが、その評価を持続することは簡単ではなさそうだ。例えば、アプリケーションに資源を割り当てるための仕様として日本が提案した「WSDM」に対し、米マイクロソフトなどが今年に入り、対抗仕様「WS-Management」の提案活動を強化。二つの仕様を組み合わせる方向で議論が進み始めた。

 ビジネスグリッドミドルウェアをベースに各社が開発する製品は、「仕様改変は不可避」(富士通の田崎英明運用管理ソフトウェア事業部プロジェクト課長)な状況だ。“被害”を最小限にとどめるためには、WSDMの内容が生きるような改善策の作成・提案が必要になる。

 活動資金の面でも状況は厳しい。「国の予算がなければ、あれだけの人員を投入した活動は展開できなかった」(プロジェクト関係者)からだ。強い製品を開発できなければ、3社のユーザー企業はグリッド環境で孤立しかねない。各社の経営判断が問われている。