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 先週末に開幕戦を迎えた「2006 FIFAワールドカップ・ドイツ大会」。4年に一度の大会だから,その間のITネットワークの進化はすさまじいものがある。この恩恵を最大限受けたのが,報道関係者のための「ITコマンドセンター」。このセンターを経由して,膨大な情報が世界中に発信されている(関連記事1関連記事2関連記事3)。

 送り手側だけではなく,利用者側のブロードバンド環境も4年前からは大きく変化した。総務省によれば,この3月末にブロードバンド契約数は2300万を突破。前大会の時はブロードバンド全体で505万加入に過ぎず,このうちFTTHはわずかに12万,ADSLも330万を超えたところだった(2002年6月末時点)。それが今やFTTHだけで4年前のトータルを上回る546万の加入者が存在する。

 今大会の報道で目立つのは,こうしたブロードバンド環境を前提にした動画配信の充実ぶりだろう。公式サイトはもちろんのこと,名のあるポータルサイトやニュースサイトでは,ゴール・シーンを中心としたハイライト映像がアップされている。時差が生じる今大会では,「見逃し」需要に応えてくれる重宝な存在だ。

 こうしたワールドカップ関連の映像配信を目玉として,新たに登場してきたポータルサイトがある。6月1日からプレサービスを開始したプレゼントキャストの「DOGATCH(ドガッチ)」だ(関連記事4)。同社は在京の民間放送局(民放)5社と大手の広告代理店4社が共同出資して設立された。実際,記者発表の席上では民放各社のトップがビデオ・メッセージで登場。「テレビの新しい使い方を」「テレビをもっと楽しく」「放送と通信の連携で最強・最良の組み合わせ」といったエールを寄せる中,フジテレビジョンの村上光一・代表取締役社長は「はやく配当を」というひとことを加えて,関係者も多い会場の笑いを誘った。

 多分にジョークの色合いが強いこのコメントだが,あとあと気になった。というのも,DOGATCHのポジショニングについて問われたプレゼントキャストの石川豊・代表取締役社長は「各局へお客を誘因するガイドがメイン」と答えたからだ。この発言から記者は「この事業は儲からなくていいのか」と思い同社に尋ねたところ,「赤字は困るが,大きな利益を上げる会社ではないと思う」という答えが返ってきた。

 このためプレゼントキャストにとっては,DOGATCHのコンテンツ収集に困るということはないだろう。利益が二の次なら,広告収入のかなりの部分をコンテンツの購入代に当てることができるし,放送局からは番組PRのコンテンツを対価なしで入手できる。ただ,ここで気になるのは,家電業界など分野でも同様な共同出資会社があったが,徐々にその存在感を失っていったこと。親会社からのあてがいぶちのコンテンツ,あるいは親会社との競合を避けて隙間を狙ったコンテンツでは生き残れないことは明らかだ。

 プレゼントキャストの真価が問われるのは,ワールドカップ・ドイツ大会の終了後。本格サービスに移行する秋以降,DOGATCHでどんなコンテンツをそろえてくるかに注目したい。