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 先日シマンテックが発表した「ユーザーがPC使用時に感じるストレスに関する実態調査」によると,調査の対象となった1100名の半数近くがパソコンデータのバックアップについて何も対策を取っていなかったという調査結果が出ていた。特に消えてしまって困るデータのダントツとして挙がっていた「デジカメ写真」でさえ,50%強の人しかバックアップを取っていないという。

 もはやカメラの主流はフィルムからデジタルに完全に移り,多くの人が膨大なデジカメ写真の画像データをパソコンに蓄積しているはずだ。しかもデジカメの高画素化やメモリーカードの大容量化によって,デジカメ写真のデータ量はどんどん大きくなっている。データが大容量になればなるほど,バックアップも余計面倒になってくる,という悪循環だ。

 自分の場合で言うと,デジカメ写真は“大事な家族の思い出”なので,一応バックアップは取っている。以前は,CD-Rなどのリムーバブルメディアに2枚バックアップして,1枚は遠隔地の実家に置いていた。そうすれば万が一,地震や火事の被害にあっても,もう1枚のバックアップが残っている,と考えたからだ。最近ではさすがに面倒になり,時々思い出したときに,外付けのハードディスクにまとめてコピーする程度だが……。

 言うまでもなく,デジカメではフィルムカメラのように物理的な「フィルム」がないため,一瞬にしてすべての写真が消えてなくなってしまう危険性が常につきまとう。実際,自分のデジカメで画像の書き込みエラーが起こり,それが原因でまだパソコンに吸い出していない写真が大量に消えてしまったこともある。パソコンのハードディスク障害で過去何年分ものデジカメ写真が一瞬で消えてしまうことだってあるだろう。それでもバックアップに対するユーザーの認識はこの程度のものだ。

アナログの時代は写真のバックアップなんて考えもしなかったが…

 しかし改めて考えてみると,フィルムカメラの時代は,写真のバックアップなんて全然考えていなかった。アルバム自体はきちんと保管されていたが,バックアップのためにネガをきちんと保管している人はほとんどいないだろう。写真に限らずビデオにしても,アナログの時代はそういうものだった。これは,アナログ時代は“データ”と“メディア”が物理的な対応関係にあって,ネガやビデオテープといった物理メディアが“ある”ことが,心理的なバックアップになっていたとも言えるだろう。

 それがデジタルの時代になって,HDDやメモリーカードなどの汎用的なメディアにデータを記録するようになり,アナログ時代のような“データ=メディア”ではなくなった。もちろん,デジタルになったおかげで,誰でも手間さえ惜しまなければ,大容量のハードディスクやDVD,あるいはインターネット上のストレージサービスなどに簡単にバックアップできるようになった。これ自体は大変喜ばしいことだが,写真やビデオがデジタルになったがゆえに,「バックアップを取らなければ」という強迫観念が常につきまとうようになった気がするのだが,そんな風に感じるのは自分だけなのだろうか。