PR

 神奈川県綾瀬市にある綾南幼稚園は2006 年2月上旬に、アクティブ型無線ICタグを利用した登降園管理システムの試験運用を開始した。園児だけでなく教員にもICタグを携帯してもらい、これまで手作業に頼っていた園児の登降園管理や職員の出退勤管理を自動化して日常業務の負荷を軽減するのが狙いである。園児や職員の安全管理にも活用する計画だ。業務の改善が期待できる分野には、積極的に適用範囲を広げていきたいという。

 登校時間が決まっている小学校や中学校などと違って、幼稚園は園児の登園時間に、かなりばらつきがある。綾南幼稚園(写真1)の場合、保育時間は午前9 時から午後2 時までの5時間で、登園時間は午前8 時30分から9時30分の間と幅がある。その間に園児は保護者と一緒に歩いて通園するほか、幼稚園の送迎バスを利用する園児もいる。園児が登園するとクラス担任の教員が、自分が担当するクラスの園児の出欠状況を確認する。今回のシステムを導入するまでは、各教員が点呼を行い出席簿に手作業で出欠状況を記入していたため、確認作業が終わるのは平均して午前10時30分すぎだった。

 また出欠の確認作業が終わるまで、登園している園児の人数を正確に把握することができなかった。出欠確認の作業中は、「園内にいない園児は欠席なのか、遅刻なのか」といった状況が即座に把握できなかったため、「例えばその間に何らかの事件や事故が起きても、園児が無事かどうかを直ちに確認できない問題があった」(綾南幼稚園の園長である田中伸宜氏)という。

写真1 登降園管理システムの試験運用を始めた綾南幼稚園 正門と裏門の2カ所にリーダーを設置する。

ICタグを持つことに職員は反対せず

 こうした問題を解決するために綾南幼稚園は、今回の登降園管理システムを導入することにした。300MHz 帯の周波数に対応したアクティブ型ICタグ(写真2)をすべての園児(約230人)に無料で配布してリュックサックに取り付けてもらい、幼稚園の正門と裏門の2カ所にリーダーを設置した。アクティブ型ICタグを採用したのは、「リーダーにかざすという余計な操作を園児がしなくても済む」(田中氏)からだ。