
今のIP電話は発信の方法などが少し異なります。今後は他のソフトやハードとの連携でより使いやすいユーザー・インタフェースが登場するでしょう。
IP電話でも普通の電話でも、電話で話すということそのものは変わりません。しかし通話を始める動作や、通話の考え方によりインタフェースが異なる場合があります。
特に「電話を発信」する動作が特徴的です。多くのIP電話機は携帯電話と同じく発信ボタンが付いています。電話番号を入力後発信ボタンを押下して、電話をかけるインタフェースが一般的になっています。
ユーザー・インタフェースを考える
ではここで「ユーザー・インタフェース(UI)とは」を少し考えたいと思います。一般的には、コンピュータと人間の情報のやり取り方法がユーザー・インタフェースだと理解してもらって構わないと思います。
人間とコンピュータの情報のやり取りがなぜ必要かと言うと、コンピュータは人間の考えていることを何らかの手段でインプットしてもらわないと、何もアウトプットを返せない機械だからです。
筆者がよく使う言葉に「優しいユーザー・インタフェース」があります。この「優しい」とは、コンピュータに何をインプットしたらいいのか、コンピュータのアウトプットの意味は何かを簡単に理解できることです。ユーザー・インタフェースが優しくなることにより、誰もがコンピュータを使えるようになる福音をもたらすのです。
コンピュータの世界を大きく変えたのが「Windows 95」です。それまでのMS-DOSの世界からWindowsへ変わり、誰でもパソコンを扱えるようになると言われました。
確かにキーボードのインタフェースからマウスのインタフェースに変化することで、情報量やスピードが格段に変わりました。しかし、必ずしも「優しい」とは思えませんでした。
今まで、キーボードだけで処理できていたものが、マウスでないと操作できなくなり、かえって不便になったソフトが多々ありました。これは、ユーザー・インタフェースの中途半端な使い方を取り入れたソフトが、多数開発されたからと思われます。また、ソフトを作る側も最新のOSと旧来のOSの狭間で、ユーザーに提供できる「優しいインタフェースは何か?」の蓄積ができていなかったため、中途半端になったのでしょう。
以前にもお話しましたが、基本的にIP電話と一般電話の仕組みの違いがあり、筆者はよくIP電話端末はパソコンとお考え下さいと説明しています。
この違いは、非常に大きなインタフェースの違いを生むと考えていますが、OSの変革と同じく、蓄積がないままインタフェースを変更すると、かえって不便になる恐れがあります。