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 米IDCと米Gartnerが先ごろ実施した調査によると,企業向けストレージ・ハードウエア/ソフトウエア市場の活発な成長が続いているという。IDCは調査報告書「Worldwide Disk Storage Systems Quarterly Tracker」で,2006年第1四半期における全世界の外付けディスク・ストレージ・システムの売上高が42億ドルで,前年同期(2005年第1四半期)に比べ10.3%増えたとした。Gartnerは,2006年第1四半期の外付けディスク・ストレージ・システムの総売上高を38億ドルと算出し,前年同期比8.6%増とした。

 IDCは「企業向けストレージ・ソフトウエア市場の拡大も外付けディスク・ストレージと同様に力強い」としている。IDCの「Worldwide Quarterly Storage Software Tracker」によると,2006年第1四半期のストレージ・ソフトウエア市場は総売上高が24億ドルに達し,2005年第1四半期に比べ10.2%増という順調な伸びを示した。これで同市場は,10四半期連続で前年同期比10ケタ成長を記録したことになる。

団子状態のハードウエア市場は米EMCがトップ,2位はIDCとGartnerで異なる

 興味深いことに,GartnerおよびIDCの調査結果で食い違う点は,外付けディスク・ストレージ市場全体の規模の相違以外にもある。どちらの報告書でも,2006年第1四半期におけるストレージ・ハードウエア市場のシェア1位は米EMCだが,Gartnerはそのシェアを24.1%(2005年第1四半期の23.3%から増加)としたのに対し,IDCは21.8%(前年同期の21.4%から事実上変化なし)としている。さらにIDCとGartnerは,市場シェア2位の企業についても違う見解を明らかにした。IDCは2位を市場シェア17.9%の米Hewlett-Packard(HP)とした。GartnerはHPの市場シェアが12.4%にとどまると見積もり,12.7%獲得して2位に入った米IBMとわずかの差で3位になったとした。

 米Dellと日立製作所/米Hitachi Data Systems(HDS)は,IDCとGartnerの両報告書でいずれも上位5位に入ったが,どちらの市場シェアが上かで結果が分かれた。IDCは両社の市場シェアを,Dellが8.2%の4位で,日立/HDSが8.1%とした。Gartnerは逆の順位を付け,4位が日立/HDSの9.2%で,Dellは7.5%とした。さらにGartnerは,米Sun Microsystemsの市場シェア急拡大を指摘した。Gartnerでは,拡大の主要因が米StorageTekの買収にあるとみる(関連記事)。

iSCSI SAN市場が前年同期比37.7%増加

 IDCは,NASとOpen SAN/iSCSI SANを含むネットワーク・ディスク・ストレージ・システムに関する調査結果も発表した。それによると,2006年第1四半期の市場規模は前年同期比15.4%増だった。そのうちNAS市場は同14.7%増で,iSCSI SAN市場は同37.7%増という驚くほど大幅な伸びを示した。もちろんiSCSI SAN市場の総売上高は,まだ1億ドルに達していない。IDCは同市場で最も規模が大きい分野を価格50万ドル以上のハイエンド向けシステムとし,前年同期に比べ40%拡大したとしている。最後にGartnerは,ハイエンド向けファイバ・チャネルSANを置き換える可能性のある分野として,同20.3%増となったファイバ・チャネルSANスイッチを挙げた。

 内蔵と外付けの両システムを合わせたディスク・ストレージ・システム市場全体は,力強さに欠けた。IDCは,市場全体の成長率を2005年第1四半期に比べ6.7%増とした。2006年第1四半期の総出荷容量は627ペタバイトで,前年同期比51.5%増だった。

ソフトウエアの売上高は増加

 ストレージ・ソフトウエアに関する数字は明るい。IDCの調査結果には,総売上高が前年同期比10.2%増という以外に,ストレージ・レプリケーション市場の同15.2%増という数値があった。さらにアーカイブ市場と,情報ライフサイクル管理(ILM,Information Lifecycle Management)ソリューションおよび電子メール・アーカイビングの置き換えとみなされる階層ストレージ管理(HSM,Hierarchical Storage Management)市場は,2006年第1四半期に同30.2%増と急増した。ストレージ・ソフトウエア市場が高度化するのに対応するため,現在IDCは同市場をデータ保護/復旧からストレージ機器管理まで8分野に分けている。

企業のストレージに対する投資が急拡大

 このIDCとGartnerの調査結果は,企業による投資がかつてない規模でストレージ・ハードウエア/ソフトウエアに向かっていることを示している。「低価格iSCSI SANがより高価なファイバ・チャネルSANから市場を奪う」と予測する専門家は多いものの,調査結果から,企業はいまだにハイエンドのより高コスト技術に投資する姿勢を見せていることが分かる。

 それと同じく,これまで多くの業界専門家が「ストレージ・ソフトウエアに対して効率的な投資を行うことは,ハードウエア向け投資の拡大を鈍らせる」と信じてきたが,そうした現象は全く起きていない。企業は容量拡大に向けて重点投資を続けると同時に,既存の容量の利用効率を高めることにも投資し,データが渦巻く海のなかで溺れないようにしている。