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 サッカーのワールドカップと並び,Coreマイクロアーキテクチャを採用した米Intelの新CPUの話題が沸騰している。記者はここで,前CPUのPentium 4が採用していたNetBurstアーキテクチャを回想した。周波数あたりの性能が若干劣ることになろうとも,とにかく高周波数で動作させることを目指したCPUだった。動作周波数の違いにより,製品ラインアップも豊富だった。価格もそれぞれ違っていた。記者は思った。「処理能力に応じて価格が決まるって,美しいな」と。

 一般的に,開発コストを生産数で割ると単価になる。生産数を見込める製品の単価は下がるだろうし,少量生産品の単価は上がるだろう。前提となる開発コストの増減によっての価格変動もあるし,一方でいくらでどれだけ売りたいかを決めた上で開発コストを設定するといった流れもある。広告宣伝費は開発コストに含まれる。いずれにせよ,開発コスト,生産数,単価,これらの要素をどういったバランスで調節するのかが,商品企画のキモとなる。

 確かに,世の中の生産物を見渡すと,高価な部品を使った生産物は高価になっていることが多い。特にOEMで部品を調達してアッセンブルする世界で顕著だ。パソコンやカメラ,自動車などを思い浮かべれば,なるほどと思うだろう。部品の開発コストの総和が最終生産物の価格に反映されやすいという意味で,自然の摂理のように感じる。高いものは高いなりの,高いだけの“価値のあるハードウエア”を身にまとっている。

 ところが,コンピュータの世界では,必ずしも価格とハードウエアの価値は一致しない。どういうことかと言うと,コンピュータとは“処理能力”にお金を払っているのであり“ハードウエアそのもの”にお金を払っているわけではない,ということだ。その昔はメインフレームの処理能力を“時間”単位で買っていたわけであり,現在では“ユーティリティ・コンピューティング”と呼ぶ言葉が生まれるに至っている。

 ユーティリティ・コンピューティングの概念を単純に言えば,こうなる。256個のCPUを搭載したサーバー機を購入する場合,32CPUを使う契約なら3200万円,64CPUを使う契約なら6400万円を支払うのである。業務の拡大などの理由で256CPUが必要になったら,256CPUを使う契約に切り替えればよい。この場合の価格は2億5600万円になる。考え方は,いたってシンプルだ。

 使用ライセンスで課金するという考え方は,まさにコピーの製造・流通コストが安いソフトウエアの世界の考え方であり,これをハードウエアの世界に適用した点は実に斬新だ。設計コストに比べて製造コストが極端に高い場合には難しい方法かも知れないが,CPUは製造コストが比較的安価であり,使うか使わないかを決めるだけで処理能力の増減ができる。ユーティリティとの親和性は高い。記者は思う。製品の価格を決める方法として,コンピュータの世界は一歩も二歩も進んでいるのかも知れない,と。