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 「ネットワーク管理者」というと,企業のシステム部門の管理者や,インテグレータや通信事業者の担当者といった,いわゆる「本職の管理者」の姿を思い浮かべるかもしれない。しかし,筆者の所属する日経NETWORKでユーザー取材をしていると,企業ネットワークを支えているのは,こうした管理者だけではなく,むしろ「管理者という肩書きを持たない管理者」であると感じる。

 肩書きを持たない管理者とは,例えば,本来の仕事を持っていながら部署のLAN管理を任されている「部門管理者」,社内に専任のネットワーク管理者がいないので自ら管理者の役割をかって出ている「にわか管理者」,パソコンに詳しいなどという理由から周りから頼られる存在の「ちょっと詳しい一般ユーザー」などである。こうした人たちの存在があってこそ,社内ネットワークが安心して使えているという企業は多いのではないだろうか。

 このような肩書きを持たない管理者に話をうかがっていつも驚くのは,トラブルに関する取材であったとしても,とても好意的に話をしていただけることである。その理由を聞くと,「私のように正式な管理者の肩書きを持たないネットワーク管理者は多いはず。少しでも私の経験を役立ててほしい」という声が返って来る。

 肩書きを持たないネットワーク管理者がこうした気持ちになる背景には,ネットワーク管理に孤独に奮闘する姿がある。特に,あまり規模の大きくない企業などでは,自分以外に頼る人がいないケースが多い。つまり,自分の実力を評価してくれたり指摘してくれる人がいないのである。それでもユーザーの声には対応しなければならない。そのため日経NETWORKを読んだりしてコツコツ勉強する。こうした真摯な姿には頭が下がる。

 ネットワークに関する自分の実力を知るには,ネットワーク関連の資格試験を受験するという手があるだろう。しかし,こうした現場のネットワーク管理者に求められるのは「知識」というよりも「現場力」である。例えば,Webアクセスで使われるプロトコルであるHTTPのシーケンスを覚えることは,知識としては大切である。しかしそうしたことよりも,ネットワーク機器同士をケーブルで正しくつなげられるかや,トラブルが発生したときにpingが打てるかといった現場のノウハウをいくつ知っているかが勝負になる。

 こうした,資格試験では問われないけれど現場のネットワーク管理者が身に着けておきたい「力」はたくさんある。例えば,社員に的確に指示やアドバイスを与えられるか,インターネットで情報収集ができるか,ネットワーク構成図を描いたり読んだりできるか,機器のカタログを読みこなせるか…などである。