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 数年前に比べると,コンピュータ/ネットワーク・セキュリティに対するユーザーの理解は確実に進んでいます。一方で,二極化も進んでいるように思います。セキュリティの重要性を認識している方と,認識していない方の理解の差が広がっているように感じています。ITproのようなITサイトをご覧いただいている方は前者であり,今さら「ウイルスに気をつけろ!」「信頼できないファイルは開くな!」などと呼びかけなくても,十分注意されていると思います。

 問題は,後者のユーザーです。よく言われるように,パソコンを購入する人はセキュリティ対策をしたくて購入するわけではないので,セキュリティに興味がなくて当然だと思いますし,全ユーザーに占める割合は,後者のほうが圧倒的に多いでしょう。そのような方たちに,どのようにしてセキュリティの重要性を知らせるかが課題だと思っています。

 そんな思いを抱えていた2005年6月,マイクロソフトのイベントを取材して,「これがその答えの一つではないだろうか」と感じました。詳細については過去記事「戦隊ヒーローがセキュリティを指南?」を参照していただきたいのですが,簡単に言えば,キャラクタ・ショーで家族連れを集めて,クイズのイベントや小冊子の配布などで,セキュリティについて知ってもらおうというイベントです。同様のイベントは,今年の6月にも開催しています(関連記事:マイクロソフトが家族向けセキュリティ・イベント)。

 マイクロソフトが家族向けのセキュリティ・イベントを開催するのは,今年で3回目。2004年から毎年実施しています。2004年に実施された1回目は,私には単なる販促活動にしか見えずがっかりさせられましたが,2005年と2006年のイベントは成功だったと思います(関連記事:マイクロソフト,東京でも「インターネット安全対策スクール」を開催)。セキュリティに興味が薄いと思われる人たちを多数集めたからです。

 もちろん,セキュリティの啓蒙活動として,どの程度効果があったかは疑問です。セキュリティに関するクイズを実施しても,全く聞いていないように見える人は少なくありませんでした。小冊子を配っても,会場を出たらすぐに捨ててしまう人もいるでしょう。ただ何人かには,セキュリティについて考える材料を提供できたはずです。

 「セキュリティとは無関係のイベントで人を集めて,セキュリティについて考えるきっかけや資料を提供する」---。たとえ費用対効果は悪くても,セキュリティに興味がない人にセキュリティのメッセージを送るには,こういった方法が極めて有効だと私は考えます。イベントは,必ずしもキャラクタ・ショーである必要はないでしょう。マイクロソフトとしては「家族でセキュリティについて話し合いをするきっかけにしてほしい」という思いがあって,家族連れをターゲットにしているそうです。

 2006年6月のイベントを取材した際,「せっかくフォーマットができたのだから,全国各地でこのイベントを開催してほしい」とマイクロソフトの方にお願いしたところ,「コストなどの都合で難しい」との答え。残念です。確かに,インターネット全体のセキュリティにかかわる問題を民間一社に任せるのは酷でしょう。関係する官庁が主催してもよいかと私個人は考えます。

 私はよく知りませんが,ちまたではメイドさんが人気のようですね。ITproで掲載した「秋葉原でメイドさんがWebブラウザ『Firefox』を配布」の記事もよく読まれました。「セキュリティの啓蒙に役立つような資料を,街中でメイドさんに配布してもらう」というイベントも人が集まりそうでよいかと思いましたが,“事情通”に話を聞くと,「そのようなイベントに集まる人は,もともとネットやパソコンに詳しい」とのこと。それでは意味ありませんね。セキュリティの啓蒙は,メイドさんよりも戦隊ヒーローに任せたほうがよさそうです。